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将軍たちの夜のzoeのレビュー・感想・評価

将軍たちの夜(1967年製作の映画)
3.7
長尺で登場人物も多く、火炎射撃や襲撃のシーンの迫力もすごいから大作感はあるけど、戦争下であり、同時にヒトラー暗殺計画も描かれているため、途中この作品の主となる“将軍による女性の惨殺”が少々薄れてしまった。事件当時とその2年後、現在を行き来するので、ちょっと混乱した。内容が濃いので何度か休憩を入れながら観ました。

ピーター・オトゥールの演技が素晴らしいです。他のキャストと比較すると、台詞は少なめですが、圧倒的に印象に残る。常にどこか不気味で内に秘めた狂気が見え隠れする感じ。ゴッホの自画像を見て、金縛りにでも合ったように体を強張らせ、汗をかいているシーンは特に印象的でした。

最初に、戦争下であり、ヒトラー暗殺計画も描かれていたために主となる事件が薄れたと言ったものの、同時にそれらのことが起きていたからこそ、グラウ中佐が他のことよりもその事件の犯人を暴くことに熱心であるのが目立っていたようにも思います。

オープニングが素晴らしいです。暗闇のなか、こちらに向かって歩いてくる革のブーツを履いた足、将軍の制服や帽子、女性と男性の瞳、不気味に光るナイフ、始まりから既に恐怖と緊張感を覚える。序盤の、住民が扉の隙間から赤い縞の入った軍服のズボンを目撃するシーンも素晴らしい。

本作はフィクションですが、ドイツ占領下のワルシャワについてもヒトラー暗殺計画についてもあまり知識がなかったので、勉強になりました。

基本的には原作に忠実みたいですが、結末などは一部異なるみたいです。
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