爆裂BOX

女子大生・恐怖のサイクリングバカンスの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.8
フランスを自転車で旅するキャシーとジェーンは途中で口論をして別行動に。しかしその後キャシーは姿を消してしまい…というストーリー。
「ヘルハウス」等に出演したパメラ・フランクリン主演のサスペンス・スリラー。監督は「魔鬼雨」の人ですね。しかしこの色物感漂うタイトルは…しかも主人公達の会話で見る限り休暇中の看護師みたいで女子大生でもないという…
フランスをサイクリング旅行中、喧嘩して別行動になり、そのまま姿を消した友人を主人公が探し回るシンプルで地味な作品ですが、最後まで不思議と飽きることなく見続けられるのは監督の演出力の賜物ですね。
キャシーが襲われるシーンも、寝転がっているキャシーの傍で物音したり、自転車が倒れたと思ったら車輪が壊されていたり、下着が盗まれたりと派手ではないけどじわじわ不穏な気配が高まっていく感じが良いですね。キャシーの悲鳴が傍の道路を走る車の音と重なる演出も良いですね。
いつまでも姿を現さないことを不審に思ったジェーンの捜索が始まりますが、拙いフランス語しか話せないので異国の地で中々意思の疎通が取れない孤立無援の状況が不安感倍増させますね。立ち寄ったダイナーの女将さんが「女の子がこんな怖い道を一人で移動するなんて!」と言われる所は地味に怖いですね。その後帰ってきた旦那と主人公間に挟んで喧嘩が始まるのも地味に嫌なシュチエーション(笑)カフェに乗店員との会話の中で「殺人」という言葉が出て何とか会話して聞き出そうとしたり、そして得た未解決の殺人事件の情報がさらに悪い想像膨らませてくれます。でも、主人公も最初の方でちらちら見かけたとはいえ見知らぬ男のバイクに二ケツしたり思慮が足りない行動取りますね。
主人公二人の後をつけて来て、捜索の手伝いをしてくれる国家警察のポールを始めとして、相乗りさせてくれる元教師の女性やキャシーが行方不明になる森の近くで農作業してる農夫など出てくる人が皆怪しげなのも孤立無援感と不安感を増してくれます。
パメラ・フランクリンは、髪形はイマイチだけど可愛かったですね。目を見開いた表情がこういうサスペンスに向いてます。
終盤の逃走と追いかけっこも結構ハラハラさせてくれましたね。クローゼットに隠れたら横にあった死体が倒れ掛かってくる所はギョッとさせられました。
犯人は最後の最後に結構アッサリ明らかになりますが、まあ、ポールはあからさまに怪しい奴感出してて犯人じゃないだろうなとは思ってた。でも、あの人も色々やりすぎだからそりゃ主人公じゃなくても疑いますわな。ラストはアッサリし過ぎな気もしますが、本当にこれで解決したのか…?と妙に不穏な後味の悪さ感じさせます。ラストカットは楽しそうな女二人のサイクリング旅行も常に危険が潜んでいるんだよ、というメッセージとも取れました。
地味ながら最後まで不穏な空気と不安感に引き付けられた秀作サスペンスですね。