kkkのk太郎

メイキング・オブ・ジュラシック・パークのkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

1993年公開の映画『ジュラシック・パーク』製作の裏側を明かすメイキング・ドキュメンタリー。

出演は『ジュラシック・パーク』の監督であるスティーヴン・スピルバーグ,etc。

『ジュラシック・パーク』について「特撮と芸術と科学と古生物学の融合」と語るスピルバーグ。
本作を観れば、この言葉の意味を理解することが出来るだろう。

世界最高の映画監督が従えるのは、『スター・ウォーズ』への参加で知られるフィル・ティペットなど、世界最高の特撮技術者達。
ストップモーションやゴー・モーションの達人達が、リアリティのある恐竜をスクリーンに蘇らせる為に演技をつける。

芸術的な恐竜のアニマトロニクス。
本物と見紛う程にリアルな造形には息を呑む。
何より、Tレックスの圧倒的な大きさ!
全長12メートル、重量4トンという破格な物質的圧が生み出す存在感は凄まじい。

恐竜のリアルな生態に迫る為、古生物学の権威からの意見も取り入れる。
「アニマティック」という、パペットを使って作られたプリ映像を専門家に確認してもらい、その問題点を指摘してもらう事で映像のリアルさを高めている。
恐竜は舌をペロペロ出しません!ヘビじゃないんだから!🐍

そして、ジョージ・ルーカスにより創設されたVFXのエキスパート軍団「ILM」が手掛けるCGIは、本作を唯一無二の作品へと昇華している。
CGを初めて映画に導入したとされる『ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎』(1985)。
『トロン』(1982)が1番最初な気もするが、スピルバーグが『ヤング・シャーロック』こそが原点だと言っているので、まぁそういう事にしておく。
何にせよ、登場から10年ほどしか立っていないまだまだ発展途上の最新技術を取り入れ、誰も観たことのない映像作りを目指した訳である。

ジェームズ・キャメロンの作った『アビス』(1989)、そして『ターミネーター2』(1991)を観てCGの可能性を発見したスピルバーグ。
キャメロンの作品では、水や液体金属といった無生物をCGで表現しているわけだが、スピルバーグは生物をCGで描くという前代未聞のチャレンジに打って出た。

ILMは生物を演技させることへのノウハウに欠ける。
そこで、ティペットたちストップ・モーション・アニメ組がCG製作の監修をすることで、コンピューター上の恐竜に生身のような臨場感を持たせることが出来た。

このように、芸術・科学・特撮・古生物学の4つの要素がガッチリと噛み合った結果生み出されたのが『ジュラシック・パーク』である。
1925年公開『ロスト・ワールド』、1933年公開『キング・コング』、そしてレイ・ハリーハウゼン作品などの流れを汲む特撮映画の系譜。
そして『ヤング・シャーロック』『アビス』『ターミネーター2』などの流れを汲むCG映画の系譜。
新旧二つの潮流を融合させることで誕生した新世代型娯楽映画。これがつまらん訳がない!

スピルバーグの口からたびたび語られる『ゴジラ』との比較。
両者とも行き過ぎた科学技術により生み出された存在によるモンスター映画だが、『ゴジラ』では生物というよりはお化けに近い「怪獣」を扱っているのに対し、『ジュラシック・パーク』では恐竜を「生物」として描くことに徹底している。
同じような出自、同じようなジャンルでありながら、アプローチの違いが明白であるという点が面白い。
反(アンチ)『ゴジラ』映画として鑑賞してみるのもオツかも知れない。

鳴き声の製作過程やコップの水が波紋を立てる描写の苦労なども興味深い、映画製作の面白さが詰まったメイキング。
プロって凄い!
映画製作に興味のある人にはオススメ!

※『ジュラシック・パーク』のBDに、映像特典として収録。
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