ある主婦の実体験をもとに脚色された心理サスペンスドラマ。誇張がなく事実に即した目線は起伏を産みはしないし、刺激的なファスビンダーを期待する方には物足りないのかもしれないが、私のようなﾜﾝｵﾍﾟ育児に仕事にﾌﾟﾚｯｼｬｰまみれの主婦の心をざわつかせるには十分過ぎた。とにかく主人公の置かれている状況も問題はあるものの、極端に不幸でもないが鬱と隣り合わせである、という事が何よりも重い。
それからTV用の映画というのが少し意外で、フェミニズム映画とも取れる本作が70年代のドイツのお茶の間でどんな反応があったのかちょっと気になる。現代の日本ならば俳優次第で話題になりそうな内容ではないかと思う。
