Jean

イン・ハー・シューズのJeanのネタバレレビュー・内容・結末

イン・ハー・シューズ(2005年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

2017.05.02 字幕視聴

姉ちゃんと妹の関係はよくわからないけれど、
E・ビショップの詩は
色々と考えさせられるなと思った



失うことの術を習得するのは難しくない
あまりにも多くのものが
失われるため
忘れ去られるため
そこに存在する

だから例え、
それらのものがなったとしても
不幸ではない

人は日々何かをなくしている

ドアの鍵をなくしても
もはや慌てはしない

私は過去に2つの街を失い
2つの川を失い
さらに大陸も

とても懐かしく思う

だかあまり不幸なことではない

たとえ、あなたを失っても
そのおどけた笑い声や
しぐさを愛したけれど
私は自分を偽ったりしない

なぜなら私にはわかる

失うことの術を習得するのは難しくないから

たとえそれがとても…(書いてしまえ!)
不幸せなことに思えても





失うことは辛いから、無関心を装いたい

でも、
失うことよりも不幸せに思えることはない

そう言われている気がした本作

人間はどんなに辛いことがあったとしても、
それは一時の辛さでしかない

何日も泣くのは無理だし、
何年もそのことだけで悲しむのは無理だし、

どこかでその辛さや悲しみを忘れ、失う時がある

たとえそれが一瞬のことだとしても

人はどうしても何かを失わなければ
生きていけない

それは記憶であったり、物であったり、
愛する人であったり、自分であったり、
色々なものを失って生きていく

それが人間の性

辛さだけでなく、愛においてもそうなのだ

どんなに愛した人にも
愛を失いかけたり、失うことがある

どんなに自分が今、愛そうとも
相手が自分と同じかはわからない

この映画は姉妹愛、家族愛、友人愛、恋人愛
といった様々な愛を語っている

どんなに愛を与え、与えられようとも、
失ってしまったものはそれは受け入れるしかない

だから主人公のお姉ちゃんは
信じてきた妹に捨てられ、
また自分に這いつくばる妹を捨て、
新しい人生を送ろうとする

一度は姉を捨て、
受け入れてもらえず姉に捨てられた妹は
姉を忘れ、忘れ去られていた祖母の元へ行く

失っても、生きていかなきゃいけない

悲しくても、生きていかなきゃいけない

忘れることは不幸のように思えるのは
それにしがみついているからだと
この映画でわかってしまった

知っているけれど、
みんな気づかないふりをしているだけなのだと
静かに感じた映画だった


やっぱり、年取ったら元気なおばあちゃんで
他人に優しく、そして素直なそんな
ばあちゃんになりたいと
こういう映画を見ると痛切に思う この頃
Jean

Jean