o

ジプシーのときのoのレビュー・感想・評価

ジプシーのとき(1989年製作の映画)
4.0
ジプシーの少年ベルハンの話。
ベルハンはアコーディオンとサイコキネシスが特技で、おばあちゃんと足の不自由な妹が一緒に暮らしている。そしてあるとき同じ村の少女に恋をする。

ストーリーは信頼や裏切りや誤解の続くまっとうな展開だけど、とにかく画面に不思議な高揚感があって混沌としている。
たとえば序盤、アコーディオンの鳴る室内で、画面右端にペットとして飼われている七面鳥がアップで映り、その向こう側では、妊娠をめぐって当事者の親同士が口論していて、さらに奥、曇った窓ガラスの外では中年の男が1人でカンフーのような奇妙な体操をしている。

近くで見ると悲劇でも遠くから見れば喜劇という言葉があるけど、この映画は一つの画面に悲劇も喜劇もあり、とはいえ支離滅裂ではなくて、なぜか全体として不思議な調和が保たれている印象。

「ふーっ!脳ミソに注射されたけどビクともしねえよ!」
o

o