【そこは天国?誰も見た事が無い場所へ】
ハネケ監督の長編デビュー作。
この作品の時点でもう既に彼の世界観は出来上がっちゃってます。
1度観たらあのじとーっとした違和感、不快感が心にへばりついて取れません。
特に執拗に繰り返される独特の尺の暗転。
緊張します。
(淡々とした乾いた映像なのに不思議!)
実際に新聞に載っていたという、一家心中の記事からこんなとんでもない映画を作っちゃうんだから恐れ入りました!
何故一家は亡くなったのか?それが監督の心に引っかかったのでしょう。
題名の「The Seventh Continent(7つの目の大陸)」は、きっとあの砂浜、あの家族が目指したのかも知れない場所、地球上に無い青い海。
三途の川?
そこはきっと、想い描いた死後の世界。
何気ない日常、そこから終活。そして死へ。
今まで築き上げて来たものを粉々にして捨て去って新しい理想郷を目指す一家。
しかし家族がそこへ辿り着けたかどうかは、はっきりと判断できないまま。
映画はTVの砂嵐を映し暗転して終わります。
ハネケ監督らしくそこは曖昧にして私たちに見せてくれません。
解釈は何通りもある筈で、私たち視聴者に任せてくれているのです。