プレイタイムの作品情報・感想・評価

プレイタイム1967年製作の映画)

PLAYTIME

上映日:2014年04月12日

製作国:

上映時間:125分

ジャンル:

4.0

「プレイタイム」に投稿された感想・評価

Ken

Kenの感想・評価

4.0
見るの大変!

一つの画面ですれ違いが起きる。それもワンカット。だとすると、もう一方の役者に合図を出してる。もしくはモニターを見せているということになる。普通、カット割ればいいから、それをやらないのだけど、ワンカットで見せるから見たことない映像になっている。それもこれも主人公がこの人に会いたいという縦軸があるからわかる。

後編。ナイトクラブのシーン。小ネタ満載。仕掛けがたくさん。見てて色々やっているのがわかる。服が破れたり同じ料理に二回ソースかけたりシャンパン冷やすのに割れたガラス入れたり。でも、縦軸見えないから戻れない。

「やりたいことをやる」「自分が見たいものを作る」という言葉がある。映画の玄人である自分(監督)が見たいものを作るってなると、こういう映画になるんじゃないかな?と思う。
ギミック✖️動線✖️様式美=サイレント
理詰めの狂気。演劇よろしく、これはひとつの流れで捉えるべきか。ラスト5分ほどでようやく意味が掴めたような。
凄すぎる… 前半の空港からユロ氏がオフィス内を彷徨うあたりまでのシーン、幾何学的なエクスタシィを感じた。何が何だか分からないが、混沌と多幸感が一体になってグルグル円環のように楽しい時間(プレイタイム)が続いていく、肯定感が凄いな
ジャック・タチによる、自らの集大成がここに。

多額の資金を注ぎ込み実現した、ジャック・タチの野心作であり超大作。
視覚媒体を刺激する世界観、これが巨大なセットだというのだから驚きだ。
効果音を活かした演出、そして集中しないと分からないとされる笑いを探すのが面白い。

残念ながら字幕が所々なくて、リスニングスキル皆無の私では作品の全てを楽しむことはできなかった。
レンタルのDVDだからなのかな?
とにかく聞き取れないのだから仕方ない。
視覚中心で楽しむことを余儀なくされてしまいました。
Aika

Aikaの感想・評価

4.2
ジャック・タチの集大成。

ガラスの超高層ビルや空港など2500平方メートルもの巨大なセットをパリ郊外に作り、撮影期間2年、1093億(!!!!!)もの私財を投じて作られた作品。
なのにたった1,100円しか払わずタチの魂に触れられるなんて…心は2時間正座して観ましたとも。

細部まで計算された画面構成とカメラワーク、全てがセットだとは思えない完璧な美術。

でもそんな事は関係なくユロ伯父さんはいつも通り。
さしたるストーリーもなく、近未来のパリを彷徨い続ける。

ここまで何作か続けてタチ作品を観てきたけど、彼が伝えたかったことが一番明確だったと思う。

ほんわかショートコントの積み重ねの中に、浮き出してくるもの。

無機質な高層ビルに囲まれ色を失った街角にポツンと佇む花屋。

ガラス戸に写ることでしか見えないエッフェル塔。

妙な発明品に惑わされる人々。

新装開店した超近代的ナイトクラブの居心地の悪さ。

タチは古き良きものが失われたことを憂いた。
それでもスカーフに描かれたパリに思いを託し、街路灯を花に見立てる。

私は彼のこの感性が好きだ。決して責めるわけでも諦めているわけでもなく、それでも人を街を愛している。そんな暖かい余韻が残る彼の作品が好きだ。

全ては作り物。その中でユロ伯父さんも観光客も私たち観客も右往左往。
でもそれでいい。これはただの「プレイタイム」なんだから。
そんなタチの笑い声が聞こえてきそうだった。


今作は興行的に大失敗し、タチは破産に追い込まれる。
しかし全身全霊を捧げた作品は今再評価され、私にも劇場で観れるチャンスが回ってきた。

この失意の中「イリュージョニスト」の脚本を書き出したのかと思うと、彼の原点回帰が私のタチとの出会いだったことがとても嬉しい。

また「イリュージョニスト」を観ようと思う。タチシェフはタチそのもの、彼の核だったと一周してわかった。
そしてきっとタチは喪失感から自由になり、また旅を続けた。彼が演じるタチシェフが観たかったな。

【ジャック・タチ映画祭】にて
タチの映画は気が抜けない。細部を見逃すまいと集中してギャグに脱力。近未来パリの素晴らしき観光旅行である。ラストショットは死ぬまで忘れないというたぐいのものだろう。
探すのをやめたときに見つかるといった皮肉はもちろん、ドアのやりとりなど見所がたくさん。冒頭などなんだかワケわかんない箇所もあるけど、ラストの回転の心地良さにいつのまにか丸め込まれてしまった。
空間の使い方がたまらない


彼の愛がこれからも受け継がれることを願ってる
shibamike

shibamikeの感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

面白いシーンや集中するシーンがてんこ盛り。なのであるが、一方で長い・くどい…というネガティブな感想も持った。

前評判で"タチの最高傑作"などの意見も見ていたので心のハードルをフルMAXに上げて鑑賞(それが巨匠の作品に対する礼儀でしょう)。

序盤~中盤と洒脱の極みみたいなシーンの連続(オフィスの俯瞰シーンとか、ガラス張り住居丸見えシーンとかおしゃれかつカッコ良すぎて鳥肌もの)で楽しむことができた。
大勢の人が登場するシーンが多く、映る人みんなが何かヘンテコなこと・面白いことをやっている可能性があり、スクリーン中を両目であっちゃこっちゃ追いかけるのが大変だけど楽しい。
あとは"音"が印象的。生活雑音が明確に聞こえるようにされているのであるが、何故か耳に心地良く癖になる。
展示会で登場する商品も面白かった。形状記憶の革張り椅子も欲しいし、古代ローマ建築の柱みたいなゴミ箱も欲しいし、ヘッドライト付き掃除機も欲しいし、無音の扉も欲しい。
ガラスドアに映るエッフェル塔、凱旋門、お城も素敵。
そんな愉快な本作であるが、残念にも映画のメイン料理が美味しくない感じであった。この映画好きぃっ!とならなかった。

終盤の国際ホテルでのパーティーシーンが本作のハイライトなのだろうけど、優秀な小ネタがいたずらに溢れるだけで、決定打が皆無(各小ネタは面白い)。で、このホテルのシーンがとにかく長い!しつこい!
ストーリー上、重要というわけでもなく、ただひたすら上流階級の乱痴気騒ぎとポンコツホテル側の失態が延々と続くだけ(プレイタイムということなのか?)。
ホテルのシーンで一番グッときたのは、バンドに途中参加した黒人トランペッターがアップビートのナンバーを突然吹き鳴らし、フロアが一気にヒートアップした瞬間、というストーリー的にどうでもいい部分。

タチは全身全霊を込めて本作を作ったらしいので(本作の興業不振で破産)、純粋に自身が最高に面白いと思うものを作った結果が本作なのであろう。そんな巨匠渾身の一作を前に恐縮であるが、ちょっと退屈に感じてしまった。自分がまだまだ修行不足ということであらう。

1日経って改めて考えると、この映画には目的が無いと思った(そもそもストーリーとか状況が意味不明)。登場人物達に明確に何か目的がある訳でなく(ツーリスト達はパリ観光が目的だけど)、それは人間の人生も同じで、着飾って上品ぶった連中がだらだら騒ぎ続けるのも、大衆を比喩しているのかも。と思うと、この映画から受ける重みが変わった。
クスクス笑いが散りばめられた洒落たコメディ。ミスタービーンぽいなと思って調べたらローワン・アトキンソンは影響されていたのね。全部拾いきれていないと思うので再鑑賞する度に面白さが発見できそう。セットも素晴らしかった。
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