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地獄の逃避行のtubure400のレビュー・感想・評価

地獄の逃避行(1973年製作の映画)
4.0
邦題が『地獄の逃避行』なのですっかり戦争映画とばかり思っていたけれど、意外やロード・ムービーでびっくりした。シシー・スペイセック繋がりで観たけど、マーティン・シーンはめちゃくちゃ格好いいし、シーンの一つ一つが詩的で、内容は残酷だけれどオフ・ビートな美しさがある。ジム・ジャームッシュとか、Netflixの(結構面白い)『このサイテーな世界の終わり』とか、『俺たちに明日はない』とか、『ノー・カントリー』とか、いろいろ思い出した。

『キャリー』でのおどおどした感じに比べると『Badlands』のシシー・スペイセックは何事にも無感動な感じで格好いい。マーティン・シーンも暴力的なのに不快感がないというか、牛の死体を興味深そうに眺める感じとか、何を考えているのかわからないのに、それが爬虫類的にならないというか、言外の悲しみとか、不可解な色気を匂わせてくる感じが素敵だった。

ヘリコプターが追いかけてきて、一緒に逃げようとしないシシーに焦っていろいろ伝えようとするマーティン・シーンがすごく格好いい。もう時間がなくて、焦ってなにか大切なことを伝えようとするシーン、というのが、『ブレードランナー』とか、『ドニー・ダーコ』にもあって、そういうのってすごく素敵だなと思う。
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