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グリズリーマンのtubure400のレビュー・感想・評価

グリズリーマン(2005年製作の映画)
3.0
クラウス・キンスキーの伝記映画みたいなやつでヴェルナー・ヘルツォーク監督がジャングルにぼんやり立ちすくんで、「鳥の鳴き声も、僕にはうめき声のように聴こえる」と語っていたのが思い出される映画だった。熊を愛し、熊とともに生きた男性のドキュメンタリーなんだけれども、一番印象に残るのは、ラスト・シーンの近く、熊の無表情な目についてヴェルナー・ヘルツォークが語るくだりだ。ティモシーは熊を愛し、熊とわかりあえていると感じてきたけれども、それは単に狂気じみた勘違いで、そこには深い断絶がある。そういう、自然との残酷な断絶のようなものと、ティモシーと周囲の人間(例えば妙に芝居がかった監察医)の断絶のようなものを感じさせられる、暗い映画だった。けれども音楽が『パリ・テキサス』っぽいというか、狐との関わりの下りとかは綺麗で、このなんとも言えない不調和な感じがヴェルナー・ヘルツォークっぽいと思わされた。
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