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山の焚火のtのレビュー・感想・評価

山の焚火(1985年製作の映画)
4.8
@yidff
おそろしい傑作。聴覚と声を奪われ孤立した世界に生きる青年は視覚を拡張しようとし(望遠鏡、虫眼鏡、鏡)、仕事に打ち込み(石を積み上げること)、挙句半ば必然的に禁忌を犯す。
「私にとって映画を撮るということは、感覚器官に対する省察を行うことにほかなりません」と監督の言う通り五感へ直接訴えかける演出。また山の斜面にあって内部と外部、穴の底と山の上といった空間の捉えかたが巧みな上彼らの関係を可視化している。冷え切ったラストカットには心底ぞっとする。
山形で他のムーラー作品は「マルセル」「チコレ」「ベルンハルト・ルジンブール」「灰色の領域」「われら山人たち」「緑の山」を観たがfilmarksに登録されていない。神経症的で「カンバセーション…盗聴…」も連想する「灰色の領域」が中でも好き。
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