山の焚火の作品情報・感想・評価

「山の焚火」に投稿された感想・評価

scarface

scarfaceの感想・評価

4.0
これはとんでもない作品。スイスの山々の中で生きる家族の物語。圧倒的な大自然の中で、浮き彫りになる人間の姿が、やってることおかしいけど、美しいし肯定できてしまう。楢山節考を思い出しました。そしたら監督もやはり参考にしたらしい。
CHEBUNBUN

CHEBUNBUNの感想・評価

5.0
【河瀨直美『Vision』に足りないもの全て盛り】
スイスかどっかの限界集落での生き様を描いた作品。話自体は凡庸で、僻地で「アダムとイヴ」やエディプスコンプレックスものをやっているだけだ。

しかし、この作品はブノワ・ジャコの『かごの中の子供たち』同様、他の作品を大きく引き離し、観るものの心の最深部にまで槍を刺す作品だ。

限界集落の一家。発話障害の息子は父に虐められている。そんな彼を優しい姉が面倒を看る。少しずつ、二人の間に肉欲の愛が結ばれていく。

テイストは河瀨直美『Vision』と似ている。しかし、こちらには『Vision』で著しく欠けていた、《本能》がしっかり描かれている。

雲よりも高いところに住み、「人々」という群から隔絶された場所で、人は野生動物と同類になる。突発的に動き、肉欲には抗えない。自然がコントロール不可能なように人もまた制御不能だ。歪んだ音、そして現実離れした身体の動きを通して、人類の原子に巡り合う。この自然と動物の関係性をスピリチュアルな映像と共に掘り下げていく。面白くも残念だった『Vision』。これが傑作だったらどんな映画だったのかを『山の焚火』は教えてくれました。

TSUTAYA渋谷店に眠る傑作です。
2MO

2MOの感想・評価

3.6
集団を作って人は山を下りた。
宗教的な結び付きによって社会は形成され、社会には神的なるルールが課される。複雑なコミュニケーションに言語は発達し、人は万物を解釈することにより人間たらしめるようになる。

人里離れたアルプスの中腹に、聾唖の“坊や”とその家族が暮らしている。
ほとんど社会と隔絶した生活の原始的な営みの中で、今にも暴れ出しかねない衝動のピュア。壮麗な山々の静的なロングショットの狭間、危うさを孕んだ非言語的なコミュニケーションのピュアにクローズアップされる視線。
つまり悲劇を映し取る。悲劇は美しいというこの世界の風景と併せて。

人間は社会の中で自己を見出す生き物だ。湧き上がるエネルギーを社会で交流させて、平静は保たれる。そうして理性的な大人として社会に与する。
適者生存の限りにおいてはそうなのだ。
イシ

イシの感想・評価

4.6
最初から最後まで緊張感があって、ラストの盛り上がりも、背徳的だけど、でも山の風景と一緒になっていくようで綺麗だった。
すごく閉じた世界の話。だからお姉ちゃんの息苦しさが伝わってくると思うのに、最後には観てるほうも解放される。
目が離せない映画で静かな名作と思った。
中庭

中庭の感想・評価

4.3
夜明け前の薄青い暗闇の山腹で絡み合う姉弟の裸と、ランタンに照らされた積雪の滑らかさが錯覚的に重なった瞬間、この作品から通俗的なドラマ性が剥ぎ取られ、画面上の事物全てが等価な存在に置き換わる。終始鳴り続ける環境音のどう猛なサウンドトラックに翻弄され、オカルティックな呼び声をいつのまにか自然なものとして受け入れ始めたとき、この恐ろしき映画と観客の唯一無二の関係性が成立する。
MegmiTanak

MegmiTanakの感想・評価

4.2
私的傑作リストに不意打ちで入り込んできた映画。とんでもない作品だ。シンプルかつ力強く、大自然を舞台にくっきりと浮き彫りにされた人間の悲劇。”神聖なる背徳感”が映画全体を支配している。傑作映画の見本のような映画ではないか。
櫻

櫻の感想・評価

-
街から離れて山岳で暮らすある一家。社会からの断絶と孤立。家族間だけで完結してしまう日常の恐ろしさ。耳が聞こえず口がきけない少年と姉のある意味では自然ともいえる間違えから起こる、悲劇。
(あのラストは何?)

父と少年が顔にシェービングムース?塗り合うシーンが微笑ましくて救いだった。
t

tの感想・評価

4.8
@yidff
おそろしい傑作。聴覚と声を奪われ孤立した世界に生きる青年は視覚を拡張しようとし(望遠鏡、虫眼鏡、鏡)、仕事に打ち込み(石を積み上げること)、挙句半ば必然的に禁忌を犯す。
「私にとって映画を撮るということは、感覚器官に対する省察を行うことにほかなりません」と監督の言う通り五感へ直接訴えかける演出。また山の斜面にあって内部と外部、穴の底と山の上といった空間の捉えかたが巧みな上彼らの関係を可視化している。冷え切ったラストカットには心底ぞっとする。
山形で他のムーラー作品は「マルセル」「チコレ」「ベルンハルト・ルジンブール」「灰色の領域」「われら山人たち」「緑の山」を観たがfilmarksに登録されていない。神経症的で「カンバセーション…盗聴…」も連想する「灰色の領域」が中でも好き。
アルプスの雄大な自然の中、エリセ並みの崇高さすらあるが、雰囲気も話も禍々しい。

穴を掘って始まり、穴を掘って終わる。大自然に囲まれてはいるものの、斜面という安定を許さぬ地形であり、家族以外の人との関わりは皆無に等しい。そんな孤立した環境の中で「坊や」は耳が聞こえず、家族の会話からも隔離されている。その代わり、見ること、触ること、感じることに感性を注ぐ。いくら耳が聞こえない、呼びかける必要がないからといって「坊や」としか呼ばないのはさすがに可哀想な気もする。牛の脱糞や、夜遅くまでお祈りしてる妻に「聖トマスにも眠らせてやれ」と夫が言ったり、ところどころで緩みどころもしっかりある。

2017/10/8 YIDFF
30

30の感想・評価

3.7
山形国際ドキュメンタリー映画祭2017
共振する身体ーフレディ・ムーラー特集
にて鑑賞

重い要素がたっぷり入ってるのに画が綺麗だから爽やか映画のよう、、、
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