山の焚火の作品情報・感想・評価

山の焚火1985年製作の映画)

HOHENFEUER

上映日:1986年08月02日

製作国:

上映時間:117分

ジャンル:

4.0

あらすじ

「山の焚火」に投稿された感想・評価

山映画の最高峰との事で、山の日に鑑賞。登場人物は、坊や、姉、父、母、祖父、祖母の6人のみ。静かだが研ぎ澄まされた音、それは坊やの感覚か、展開は読めるが集中して観る事が出来た。
pepo

pepoの感想・評価

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このレビューはネタバレを含みます

こういう映画だったのか... 暫く虚脱。下界の町とは隔絶された、果てのないような天空の景色の中で営まれる暮し。双眼鏡で凝望される外界と虫眼鏡で凝視される家周りの些事。
なるほど、神隠しっていうのはこういう風に... と戦慄した。
テーブルライトを見上げる静かな笑顔、雪の中の二つの光。どう感じていいのか分からないのにどうしようもなく美しかった。
ただやっぱり、父が女達に甘えすぎだったとは思う。
胎の子供はいずれ顕れるけど、娘の羽根をもいで道を断って閉じ込めた父の罪業は端初として辿られる事もなく永劫雪に埋まったまま。
拘泥

拘泥の感想・評価

3.6
『山の焚火』というタイトルですが、観ればわかるように山の焚火が現れるシーンを考えるとそのままこの映画のタイトルは『SEX』なわけでキモすぎます。
隔絶した山中で、賢くも因習的に山に閉じ込められる姉と、聾唖の弟と、弟の聾唖の発覚から明るさを失った信仰深き母と、凝り固まった価値観で反知性主義の正に山の男としてある父と。
大抵の映画が物語るために必要なのは、登場人物の計画や目的という時限装置なわけだけど、こんなお膳立てを前に「一体いつ近親相姦は行われてしまうのだろうかという不安」が時限装置として迫ってきた。なんか文字に起こすと偏執狂患者の戯言みてえだな。
田中登『マル秘色情めす市場』においてあるただの姉と不具の弟との姦淫というのがこの時限装置を簡単に察せさせた大きな要因だったけど、この「不具の弟と姉の近親相姦」というモチーフは何か有名なものなのかしら?

繰り返す虫眼鏡と双眼鏡は、固まった近すぎる父の視点と遠き天を見る母の信仰との対比に重なり、近視かつ遠視だからなかなかどうして何ひとつ見得やしないとも言えるし、矯正すればその両端は見えるけど結局間は見えねえな。

んでその虫眼鏡と双眼鏡を同時に扱うのは弟の"坊や"なんだけど、とにかくこいつがキモすぎる。本当にキモい。こいつだけでこの映画があんま好きじゃなくなるぐらいに気持ち悪すぎる。こいつをぶっ殺してくれればまだよかったんだけど。不具のクソガキがそれを言い訳みたいにキモキモしく生きて泣いたりして気持ち悪すぎてしょうがない。マジでぶん殴りたくなる。コレはいけない。そりゃ母も明るさを放棄するわ。しかしそれは不具のためじゃねえぞ。ただこの人間がキモすぎるからだ。ガキは本質的に割とキモい。それは忘れないぞ俺は。子供は好きさ。
何故あだ名(実際には氏族の呼び名)で呼ぶのって会話と、坊やってあだ名かねってことは見逃せない。

坊やは声変わりと共に石割りの仕事を任されます。
旧約聖書において石工だのということは重要な現れたをするんだろうってことは知ってるけど大して詳しくない。聖書において「石を立てる」ということとその意味の考察を上げている方がググればjstageで出てくんだけど、大体神の権限の証拠、或いは記念なんだそう。
そして先程述べたタイトルである山の焚火と共に成る『SEX』は近親相姦において、おそらくその度に、坊やは石を立てまくるんですね。それが大人の通過儀礼かつ神の権限として祈念されるってお前、いや〜本当に気持ち悪いですねコイツは。死んでくれ普通に。
ひと目見たその日からずっと観たかった大好き臭プンプンのジャケットが良い。

自然と一体化した家族4人だけの山奥生活は、二人姉弟の弟が時折起こす問題行動に対する憂慮とともに”鬱々”“閉塞感”一色の世界に。そんな中でも手紙や物が届いたり、カタログを眺めたりのささやかな時間に閉塞感が緩む。

聾唖の弟と姉が至ってしまった禁断の行為は、愛云々よりも隔絶された世界での野生動物の生命活動に等しい。神に祈りを捧げる他に手だては無かったのか。映画が終わったその先に幸せはあったのか甚だ疑問。
よしだ

よしだの感想・評価

4.9
映像の粒子一粒一粒がエネルギーに満ち溢れていた その事に気づくのはきっと観終わった後だろうと思う 孤立した斜面に佇む家そのものが物語のようでそれをとり囲む新緑の葦が、生活に息づく大気の温度が、清美な真水が、そして季節を運ぶ生臭い風が視界に満ち溢れ特異性が時に普遍的へと映画を整列させる 緩やかなパン、過酷と思える移動撮影が誘い込むのちに動く数少ない起状を僕の目はすんなり受け入れ、そして雪が降る。両親を灯す蝋燭と部屋で灯る燈が夜景に溶け込み映画は闇に消えていく そして観ていた僕は死んでいたかのようにようやく息を取り戻した
最重要主要人物たる息子が聾設定であるが故の"音"映画。豊かな環境音のみならず、聴覚情報把握差演出がすごい。厳しい傾斜地形で撮られたと俄かに信じられぬ素晴らしい滑らかな移動撮影、特徴的空間設計を存分に活かした人物配置。イノセントと禁忌による家族崩壊。そしてロケーション、神がかりすぎ。超絶。

2020/02/29
アルプスの山々とそこに咲く花、岩肌の美しさに癒される気持ちと、山腹で暮らす一家の営みにハラハラする気持ちの折り合いが付かず、そわそわと落ち着かない。観終わった後も上手く気持ちを表現できない…。

何千年、何万年と同じ四季を繰り返す自然に対して、毎日同じ日課を繰り返す一家はあまりにも小さな存在。穏やかなときもあれば荒れ狂うときもある自然の姿に、人間は為されるがまま合わせることで生活を成り立たすことができる。

その自然と人間の融和が焚き火の夜の出来事。草木は春になれば芽を出し種属を絶やすまいと成長するように、人間もまた自然の法則に従って生命の維持を望む。感情の赴くままに行動する姉と弟にとって、神秘的な自然の中では必然的な行為だったのかもしれない。

そんな二人を赦すことが出来るのは、間借りして生活を営む人間たちではなく、神でもなく、山々しかないように思う。山々は何事もなかったかように一家を包み込み、変わらない四季折々の景色をこれから先も繰り返していく。
yoko45

yoko45の感想・評価

4.3
 抗えない風と雨、ささやかな営み、人目はなく山だけが見ている焚き火の前で人が交わる。冬が来れば雪が積もり、谷を超える隣家への道も閉ざされ、蝋燭に囲まれながら人が弔われる。
 聞こえなければ音のない世界が普通、山で暮らせば山と生きるのが日常。山は何も支配せず何からも支配されない。やがて春が訪れても、姉弟は山を降りることが出来ないかも知れない。

(メモ)
本能を考える
鏡雪光!

形式と知覚とメロドラマの大融合作品でした。森や山を扱いながら自然主義ってなんない作品大好き。観てください
山のライフ。黄昏時の光の感じとかとてもきれいですばらしいんだけどちょっとテンポがゆっくりすぎて。寝て起きたら冬になっていた。
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