キーチとティレルが酒場で戯れ合うシーンの痛さ。頭突きでジュークボックス叩き割って「俺を信じて、君を信じる!」とか口ずさみながら肩で風を切って2人で外へ繰り出す。その浮かれぶりに戦慄。彼女であるキャンディ・クラークとの初夜で浮かれて、そのまま鼻を潰されるブリッジス。アジア系ウェイターの人生を勝手に想像して絶望。賭場に惹かれたのか、脳がやられたのか判然としない突然の時間停止。寂しがり屋のキーチが胸に迫る。ブリッジスだって強くない。日雇たちが畑で離婚の武勇伝。復縁はどこまでも地平の彼方。グラマーな元妻に恋慕し続ける男のなけなしの努力はたった100$。ジムの会長ルーベンは吝嗇家だけど悪人ではない。だが金は手に入らない、哀しいぐらいに。原作レナード・ガードナー著/安岡真訳『陽の沈む街』を片手に自主字幕。