西東京

血ぬられし爪あと/影なき殺人ピューマの西東京のレビュー・感想・評価

4.5
黒のピューマに牛が食い荒され、ピューマを退治しにいく長男と次男、それとは別に行われる家族の陰鬱な物語。寒々しい景色、ほとんどがセットで展開され、西部劇ともメロドラマとも違う変な映画。ただでさえ変なウェルマンの西部劇の中でも変。
雪の中を延々ひとりで彷徨うロバート・ミッチャム、一方家では末っ子と母親を中心とした家庭のゴタゴタ。どちらも気が滅入る。家もなんか天井高いし、舞台劇みたいだと思ったら同じくウェルマンの舞台っぽい『牛泥棒』と同じ原作者らしい。このセットの閉鎖感は家族という逃れられない呪縛の息苦しさに重なる。ピューマが終始登場しない、お化けみたいなインディアンの召使、キメキメの構図、現実感のない異様な雰囲気を醸し出す。
ロバート・ミッチャムが着る赤のコート。雪景色で色のない世界で目立つ赤は決してポジティブな意味を持たない。牛のコートを着る長男と、それに着替えるミッチャムは分かりやすく彼らのその後を示唆する。
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