似太郎

ザ・シャウト/さまよえる幻響の似太郎のレビュー・感想・評価

4.0
こんな下らないB級映画みたいなのがカンヌで二冠取ったという事実が笑えて仕方ない。イェジ・スコリモフスキによるカルト作品。如何にも感覚派の映画作家らしいセンスである。ストーリーは完全に破綻しているが観てて退屈しない奇妙な魅力がある。

全編、謎の人物(アラン・ベイツ)のでっかい大声が響き渡ってノイズ塗れ。一体どの世界からやって来たのか分からない男の匿名性と超現実的なイメージは黒沢清の『CURE』の萩原聖人演じる犯人にも通じる印象。

全編に渡り丘の急斜面ばかり撮るシュールな画作りが強烈なインパクトを与える。総じてシネフィル好みの映像。後に青山真治が『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』で本作へのオマージュを捧げたのも良く分かる。
似太郎

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