木曳野皐

ベンジャミン・バトン 数奇な人生の木曳野皐のレビュー・感想・評価

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“数奇”というサブタイトルが刹那と感動を増長させている。
女性が煙草を持ち、男性がオイルライターで火を付けてあげるのがスマートとされていた時代があったんだよなぁ、と何気無いシーンに背景を感じる。
あの魅力的なベッドシーンではタイタニック味を感じた。やはり官能を描くなら曲線美の他無いだろう。

例えば“この恋が数奇じゃなかったら”、なんていうifは存在しない訳で、ベースにその数字があるからこその始まりであり、終わりであるんだよなぁ。切ねぇ。
いつまでも“ママ”と呼んでも違和感の無い反比例した“見た目”と“年齢”。

後半、語りが知らず知らずの内に交代してて結局そこが1番泣けた。
語りが変わる事によってお互いの“差”が表面的になってもう泣けてきちゃう。
これが運命だと言うのなら呪ったって良い。誰も悪くないよ。
木曳野皐

木曳野皐