史上最悪の山岳遭難である八甲田山雪中行軍遭難事故を、少数精鋭の弘前31連隊と大所帯で指揮系統混乱した青森第5連隊で対比し、硬直した組織が招いた人災として描く社会派大作。圧倒的大自然を前に余りにも人は無力、凛々しい軍装の銀幕スター達も荒れ狂う風雪に次々と屈していく。
このレベルの大失敗を教訓にしなかった先に二百三高地もシベリア出兵も太平洋戦争もある訳で暗澹たる気分にはなる。それと同時に、今の時代にこの種の醜態を真っ向から指摘して作品を作る機運があるか、ということも思った。明治も昭和も、知らない間にどんどん遠くなる。
それはそれとして、高倉健さんや北大路欣也さんをはじめ俳優さんたちが雪まみれになってもしっかり格好良く、そこはエンタメを貫いていたな。健さんゆかりの昭和館で鑑賞できたのは何かの縁。
