masayaさんの映画レビュー・感想・評価

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正体(2024年製作の映画)

4.0

拘置所を脱走し、顔を変え、名前を変えて男は逃げ続ける。本来当たり前に享受すべきだった人生と日常を取り戻す為に。人が人を裁く危うさ。例え誤った判断をしても、いつか必ず正しい答えを導きだせると、この社会を>>続きを読む

劇場版「進撃の巨人」完結編THE LAST ATTACK(2024年製作の映画)

4.0

あの始まりでこの結末に辿り着くのがいまだに衝撃なんだけど。重い愛と宿命に満ち満ちた長編の終わらせ方がこれよ。照れ隠しみたいなエンドロール後のオマケよ。日田の皆さんやりやがりましたよ、という凱旋上映の早>>続きを読む

動物界(2023年製作の映画)

4.0

普通に暮らしていた人が獣人化する奇病が発生した世界。獣人化した母親が隔離先の施設の事故で行方不明になり、父親と暗い森を捜索する少年にもいつしかとある兆候が現れる。自分と異なる隣人を、隣人や自分の変化を>>続きを読む

ぼくとパパ、約束の週末(2023年製作の映画)

4.2

実際に行って見てみなきゃわかんないよ。頭の中の止まない嵐と戦い続ける自閉症の少年と、彼と真っ直ぐ向き合うことに決めた父親の、独リーグ56クラブから推しクラブを探す旅。簡単に答えは出ず、トラブルも限りな>>続きを読む

ルート29(2024年製作の映画)

4.3

離ればなれの母と引き合わせる為、彼女は少女を連れて国道29号を辿る。あるべき感情や当たり前の社会的なやり取りは後方に置き去りにして、不思議だろうと非条理だろうと、今そこにある出来事と誠実に向き合う旅。>>続きを読む

ロボット・ドリームズ(2023年製作の映画)

4.2

独りぼっちのドッグが通販でお迎えしたロボット。かけがえない友情を結んだ二人は、ある日突然離ればなれになる。友と再会したい。心に空洞を抱えたまま無情に過ぎる日々にも、小さな喜び悲しみは繰り返す。人生。言>>続きを読む

本心(2024年製作の映画)

4.1

あの日の聞けなかった言葉を求めて、バーチャルで亡母を復活させる。姿形は確かに母だけど、その会話にはどうしても違和感が付きまとう。
人間の心はデータの集積だけでは捉えきれないよって思う。でも、肉体持った
>>続きを読む

アイミタガイ(2024年製作の映画)

4.2

相身互い。人は誰もが、気づく気づかないに関わらず、誰かの思いが巡り巡って生かされている。喪失のあとの再生の過程の記録であり、人間の善性がもたらす福音を徹底的に追求した映画だった。都合が良すぎる?確かに>>続きを読む

十一人の賊軍(2024年製作の映画)

4.1

天下分け目の戊辰戦争。官軍と同盟軍双方に旗幟鮮明を迫られた小藩の窮余の策は、罪人決死隊に砦を守らせての時間稼ぎだった・・お家の為、義の為、愛する人の為、いやいや自らの生存の為。望まぬ戦いに巻き込まれた>>続きを読む

ゼンブ・オブ・トーキョー(2024年製作の映画)

3.6

修学旅行で東京自由行動、行きたいとこ全部まわる!と班長が一人で意気込んでたらメンバー皆脱走。全員個人行動になる(予告編で匂わせてたSF設定どこいった?)。映画としては地雷踏んだ感強いけど、コンテンツの>>続きを読む

八犬伝(2024年製作の映画)

4.1

悪が蔓延るままならぬ世だからこそ、正義を貫いた者が報われる物語を作りたい。戯作家曲亭馬琴の最後の大作が完成するまでの虚と実を巡る葛藤。虚の想像力は実の様々な出来事から育まれ、実の読者は虚の物語に励まさ>>続きを読む

熱烈(2023年製作の映画)

4.0

カッコイイ方が勝ちの単純明快ダンスバトル・ブレイキンでNo.1を勝ち取れ!ド派手演出、超絶技巧、端正な顔がスクリーンの向こうからかわるがわるに殴って来るアッツアツ青春スポ根、友情努力勝利全部特盛。それ>>続きを読む

チャチャ(2024年製作の映画)

4.1

猫みたいに気ままに生きてるチャチャ。今日も気になった男の子の家に転がり込んで、ってそんな一筋縄な話ではなかった。カワイイからちょっと怖い、なんて匙加減じゃないとこまで一気にグルーヴ。最後にもう一丁コー>>続きを読む

HAPPYEND(2024年製作の映画)

4.2

今から少し未来。幼馴染との悪ふざけが昂じた過ちをきっかけに、学校にAI監視システムが導入される。不安を煽り統制化する社会。従順と諦めの時代に、反骨と向こうみずはまだ有効か。青春は普遍たりえるか。未来を>>続きを読む

ふれる。(2024年製作の映画)

4.0

触れるだけで互いの気持ちが全部分かればどんなに楽なことか。その生物のおかげで三人はその力を手に入れて最強の親友になった、筈だった。傷つけ、傷つく過程抜きに関係は深化しない。避けては通れないその真理を遅>>続きを読む

ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ(2024年製作の映画)

4.2

ちさまひ、今度は出張殺し屋旅行!待ち構えるは鼻持ちならない先輩女殺し屋と、サイコパス系最強ラスボス殺し屋!風光明媚&人少なめ&廃墟多めの宮崎県を舞台に質量共にシリーズ最高、美しい身体運動と予測つかない>>続きを読む

傲慢と善良(2024年製作の映画)

4.2

意外な良作。誰もが本当に欲しいものがない、判らない時代に、パートナーは何の為に選ぶのか。スペックだけが基準になる婚活市場で、相手は自己愛の鏡でしか無くなっていく。自分を偽ることに耐えきれなくなって彼女>>続きを読む

Cloud クラウド(2024年製作の映画)

4.1

楽して稼ぐ為に始めた転売屋だった。PCの画面の向こう側で音も無く交わされる転売契約に紛れて気づかなかった、踏みにじられた人々の憎悪が噴き上がり実体化したなら。感情を無視して功利を追求した先に待つ破滅。>>続きを読む

ぼくが生きてる、ふたつの世界(2024年製作の映画)

4.2

難聴の両親から生まれた子として、成長と共に感じる家族と世間との隔絶。家を飛び出して気付くこと。手話の多彩さ、話者の誇り、そして母の止まぬ愛が溢れる言葉の数々。ふたつの世界はある、でも決して別世界ではな>>続きを読む

チャイコフスキーの妻(2022年製作の映画)

3.9

恋の盲目が偏執という名に変わり、自分と相手との2人の人生を黒焦げに燃す悪夢のような結婚生活。高名な夫を射止めた若い妻に一秒も無かった蜜月と、数十年に渡る愛の無い不毛な争いに費やした日々を赤裸々に描く。>>続きを読む

シサㇺ(2024年製作の映画)

4.0

殺された兄の仇を打つ為に東蝦夷地を彷徨い、アイヌに命を救われた松前藩士の青年。コタンでの暮らしの中で、藩ぐるみでの不公正な交易の事実を知る。武士らしさ、男らしさ。今までの生で信じてきた正しさの揺らぎ。>>続きを読む

ボストン1947(2023年製作の映画)

3.9

かつて日本の旗の下で五輪マラソンメダリストとなった二人の韓国人ランナー。後輩達に自分達の無念や後悔を経験させたくない、その思いは生まれたての国を巻き込み、指導者として国際大会への道筋を探り当てる。自他>>続きを読む

幻の光(1995年製作の映画)

4.2

夫の突然の自死に心身を無くしたまま、奥能登の漁師町に後添いとして嫁ぐことになったゆみ子。日常に紛れはしても消えない喪失感に立ち止まる彼女を、土地の人びとや大自然が包み込む。計算された長回しに、構図の妙>>続きを読む

ぼくのお日さま(2024年製作の映画)

4.1

北の小さな町が雪に包まれる。少年と少女と、都会から帰ってきた先生。3人が出会い、アイスダンスの大会を目指したその冬は温かで優しくて少し苦い、特別な冬になった。再会した時、何を話したのかな。つっかえる言>>続きを読む

侍タイムスリッパー(2023年製作の映画)

4.2

幕末京都から現代の太秦に侍がタイムスリップ!時代劇の斬られ役でやっていくことに・・目の付け所良いコメディとして笑わせてくれた後に、笑いごとではない歴史の当事者性に首筋に真剣を当てられたようにヒヤリとさ>>続きを読む

ナミビアの砂漠(2024年製作の映画)

4.0

カナはこんな子だから。若い女の子はこうあるべき。彼女ならこう思うだろう。周囲や社会が勝手に築いた虚像の私。それに抗ったり、うまいこと乗っかって見せたりする私。どちらにも、本来の私は居ない気がする。(観>>続きを読む

ソウルの春(2023年製作の映画)

4.0

70年代末、民主化運動「ソウルの春」は、陸軍内の勢力争いに端を発する軍事反乱により最悪の結末を迎える。ぱっと見、容易く始末出来そうな小悪党が二転三転する状況下で形勢を握り反乱を成功させるまで。自国の負>>続きを読む

きみの色(2024年製作の映画)

4.2

あの子の色はとてもきれい。私の色はどんなだろう?
違う部分に惹かれ、共通する部分に喜び、調和し影響し合う。少年少女が初めて他者を意識し、自分を再認識する青春時代の一度しかないきらめきを閉じ込めた小さく
>>続きを読む

箱男(2024年製作の映画)

4.0

その箱の中に居れば、誰からも見られず、世界を好きなだけ覗き見ることが出来る。一方的な特権、圧倒的な自由それが箱男。カメラ、トンネル、母胎、蛹、迷宮・・箱のイメージがどんどん変わって掴めそうで掴めない感>>続きを読む

フォールガイ(2024年製作の映画)

4.0

痛快、盛大、ド迫力のハリウッドのアクションシーンを文字通り命がけで支えてきたスタントマン讃歌!金と権力渦巻く映画業界の闇をその勇気と職人技で跳ね返し、うまく行かなかった過去の恋も手繰り寄せる。気楽に笑>>続きを読む

新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!(2024年製作の映画)

3.7

うーむ。傑作「恋は光」の小林監督の次回作としては鈍重で、学園を世間の縮図とした社会派として観ると「ありふれた教室」の衝撃に及ばない。かと言ってテーマと監督名が無ければ観てないし評価難しい。髙石あかりさ>>続きを読む

劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:Re:(2024年製作の映画)

4.1

参った〜!見事な換骨奪胎でTVシリーズでは垣間見えていただけのぼ喜多を前面に。互いに隣を歩く人のまぶしさに目が眩みながら、そんな風になりたくって高め合っていく二人の関係性に震えた挙句に「君じゃないとさ>>続きを読む

ゴジラ(1954年製作の映画)

4.2

小倉昭和館のゴジラマイナスワン との2本立てで観た。
初代ゴジラ、まず感じるのは作る側と観る側が共有する戦争の記憶の色濃さ。モノクロフィルムでの迫力を最大化する為の技術とセンス、科学倫理との向き合い方
>>続きを読む

流麻溝十五号(2022年製作の映画)

4.1

台湾史の暗部である戒厳令の時代。思想犯とされ、洋上の孤島に収容された女性たちを描く。自由を、権利を、当たり前の暮らしを取り戻す為に手を取り合った人々の不屈の信念。圧巻のラストシーンは、何故白色テロを主>>続きを読む

カミノフデ ~怪獣たちのいる島~(2024年製作の映画)

3.9

一人の特撮造形作家が死んだ。孫の少女が迷い込んだのは、彼が手掛けようとしていた未完の作品の世界だった。幻の巨獣、怪力の魔神、破壊されるビル。頭の中にあるものを現実に再現する特撮映像文化。虚にも実にもそ>>続きを読む

墓泥棒と失われた女神(2023年製作の映画)

4.0

イタリア、トスカーナの地下に眠る豊かな古代遺産を狙う、貧しい盗掘者達。上前をはねて高額で富裕層に売りつける者たち。静かな祈りの為の副葬品が、悠久の信仰の対象が、現代の刹那的な資本主義構造に取り込まれる>>続きを読む