倒錯した兄弟愛。

未亡人の姉と刑事の弟。
オペラ座で衣装デザイナーを務める男と姉が恋仲になると同時に、弟の中でただならぬ嫉妬心が沸き起こる。
弟からは事細かく一日の行動を聞かれ、デザイナー男からは仕事やプライベートについて質問攻めに遭う、そんなモテモテの姉を演じるのはシャーロット・ランプリング。
改めて見ると、やっぱりこの人の端正な顔立ちって独特の魅力があるというか、目が合うと一瞬で惹き込まれそうな力強さがあるよなぁと思う。

そもそも初っ端から、この兄弟からはまるで恋人同士のようなただならぬ印象を受ける。
もう弟の姉に対する執着が普通じゃないし、姉を見つめる弟の視線はまるで恋人に対するそれ。
デザイナー男と姉が良い仲に発展していくと共に、落ち着きがなくなり壊れていく弟の様子が危なっかしくて面白い。

弟が通うゲイバーのショーがBGMの如く随所に挟み込まれるので、その怪しい雰囲気のせいで凄く非現実的な気分になる。
ラブシーンでシャーロット・ランプリングが日本の旅館に置いてあるような浴衣着てるのがヘンテコで笑っちゃったよ。
行き過ぎた兄弟愛だけに留まらず、ホモォ…な展開もあったりと、なかなかぶっ飛んだ作品で面白かった。

デカダンの香りと倒錯の世界。オペラ座やクイアのクラブ。

オルフェオとエウリディーチェ、ノルマ、サロメ。序盤に上海リリーも。エンドロールはクリス・クリストファーソンのカバーときた