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ストレンジャー/謎のストレンジャーのsのレビュー・感想・評価

3.5
一見平和なアメリカ・コネチカット州のスモールタウンに歴史教師として潜伏するウェルズ扮する元ナチ高官をハイエナの如くジリジリと追い詰めるナチ残党狩りサスペンス。第二次世界大戦の翌年にこれを世に出してしまうウェルズがすごい。”泳がす”ため政府に釈放された元収容所長の小男マイネケ(身長が2m近くあるウェルズとの対比がなんとも悲しい)が校庭での再会後あっさり絞殺されて土に埋められてしまったので、いやマイネケもうちょっと頑張ってくれや…大事な見せ場…と思いました。徐々に隠れていたウェルズの本性が見え始め、埋めた土を掘り起こそうとした妻の愛犬を毒殺、食事の場で明らかにナチスを匂わせる言動(意外とボロ出やすい人なんだな)、時計台での妻殺害計画、極め付けには「君を抱いた手であいつとお前の犬を殺した」発言をよくもあんなにサラッと…。電話中にメモ帳によく癖で無意識に謎の絵を描いちゃう人いるけど、さりげなくウェルズがメモにナチスのシンボルマークである鉤十字を描いしまい慌てて書き直して誤魔化すシーンがあってボロ出まくりで笑った。
その後の話は想像してた通りの運命を辿って終わっていくんだけれど、正直内容はどうでも良くてウェルズお得意の影の演出やらクレーンショットに痺れまくった。自身の顔を捉えるカメラは正面よりやや斜め気味に構え、半分に黒い影を落とし「元ナチの悪いヤツ」感をこれでもかというくらい不気味に見せてくるし、一方で妻役ロレッタ・ヤング(こんな顔に生まれたかった)には光を存分に当ててその肌の白さや美貌を一層際立たせる。光と影の演出へのこだわり方が異常。そしてあのクレーンショットが後の『黒い罠』に繋がっていくのかと思うと胸が熱くなった。
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