カタパルトスープレックス

さんかくのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

さんかく(2010年製作の映画)
3.7
人間の薄暗い部分を描く吉田恵輔監督がその真価を発揮したのはこの作品からなのではないでしょうか。恋愛コメディーとなっていますが、むしろホラーですから!

主人公のモモちゃん(高岡蒼甫)はデコ車が趣味の釣具屋店員。ある日、同棲している彼女の佳代(田畑智子)の妹の桃(小野恵令奈)が泊まりに来る。中学三年生の桃にモモちゃんは恋をしてしまうのだが……という話です。

最初はちょっと変わった三角関係のラブコメディーの感じなんですよ。それがどんどんおかしな方向にズレていく。イタすぎて、キモすぎて笑えない。『ヒメアノ〜ル』(2016年)で古谷実原作、『愛しのアイリーン』(2018年)で新井英樹原作を映画化したのは必然だったのかなと。人間の薄暗い部分という意味では三人は近い空気を持っていると思います。

本作は吉田恵輔監督の本領発揮な作品ではあります。ただ、ちょっと終わりがダラダラしてしまった。なんか、ラブコメディーに戻そうとしたのかな。もっと寒い感じで終わればよかったのに。