このレビューはネタバレを含みます
長いうえに、さっぱり盛り上げようという気がない。BGMもほとんどなく、ここで入れたら盛り上がるだろうにってところにない。
11人を順番に抹殺するなんていかにも盛り上げやすそうだが、メインテーマが「追うものは追われるものたりえる」なので、あまりにドラマチックに、アクション映画風に作ってしまうと事実感が薄れる、それはわかる。
だが、これは映画だ。全てがエンターテインメント性に富んでいるべきとは思わないが、観客心理を掴まず、盛り上げるところを盛り上げない、というのは違うだろう。
さらに劇中にパレスチナ、イスラエルの背景の説明が一切ない。これはただの不親切。作り手としてこの映画を理解させたいなら絶対に挟むべき要素だったはず。それとも全員が知ってるとでも思ったのか?
最後の最後にオリンピックの選手を虐殺するシーンがあるが、それもよくわからない。なぜ妻とのセックス中に想像させるんだろう。もっと効果的に見せる場所はあったはず。
一方で、3人目までの暗殺はいいテンションに仕上がっている。そこから鬱パートだが、そこからも悪くない。復讐に取り憑かれていく様、仲間がやられて疑心暗鬼になっていく様、要素としては悪くないんだ。
ただ、事実だからってりきんだ結果、全く面白くない映画になってしまった。これは完全に監督のせい。シンドラーテイストでも出したかったのか?