蛸

レオパルドマン 豹男の蛸のレビュー・感想・評価

レオパルドマン 豹男(1943年製作の映画)
4.4
ショーに使われる黒豹が逃げ出した街で殺人事件が発生する。殺人は続き、事件は豹の仕業とされてしまう。主人公たちはこれが人の仕業であると見て捜査を行うが…というお話。
全体的にサイコホラーにモンスター要素を注ぎ技したような話の展開で、お話自体もおもろしい。

しかしこれはリュートン×ターナーの黄金コンビによる作品。
鏡や陰影(照明)などの使い方が半端じゃなく巧みで、リュートンホラーお得意の暗示による雰囲気作りが素晴らしい。
ターナーは映画の生理みたいなものを熟知している。細かな演出の積み重ねと大胆な飛躍による映画的な気持ち良さがとてつもない。
特に第一の殺人に至るまでのシーンの流れは惚れ惚れするほど完璧(橋の下で絶妙なタイミングに列車がやってきて強い光と闇が交互に被害者を浮かび上がらせては消すシーンとか、黒豹への切り返しショットとか、ドアの隙間から流れる血とかとか)
クライマックスのシチュエーションも本当に最高。行列の「異物感」に『私はゾンビと歩いた』を想起させられた。
蛸