キスの映画。これから死ぬ少女と。死を受け入れられない少年と。カミカゼのゴーストと。
少年はカミカゼゴーストと、ハロウィンの夜に同じ飛行服を着る。劇中で何度もキスのショットが反復されるのであるが、少年とゴーストが同一化したそのハロウィンの夜こそ、少年と少女は劇中で最大の大きさでキスを交わす。ヒッチコックの法則を考慮するならば、この大写しになったキスは特別な意味作用をするべきなのだが、ガス・ヴァン・サントはカミカゼゴーストを展開しきれない。
35mmで撮影したようであるが、『エレファント』(2003)はもっと美しかった気がする。
セル用のBlu-rayで視聴。音声はDTS-HD Master Audioの5.1chサラウンドであるが、奇妙である。セリフが突然に定位を失うのである。同録であるので、閉域で音が籠ったことで直接音ではなく、間接音をマイクが拾ってしまったのだろうか。詳しいことは不明だが、音声が不安定であるのは確かだ。