イチロヲ

白いドレスの女のイチロヲのレビュー・感想・評価

白いドレスの女(1948年製作の映画)
3.0
有閑夫人と不倫関係を築いている弁護士が、歳の離れた夫を標的にした完全犯罪を企てる。愛欲に狂わされた男女の顛末を語っている、クライム・サスペンス。

新しい刺激を求めている男女が、磁石のように引かれ合いながら、刹那的な犯罪行為へと猛進する。邪(よこしま)な人間心理を取り扱っている弁護士が、たった一人の女にのぼせてしまうという、エロティック・サスペンスの教科書的な内容になっている。

殺人事件は物語の中間地点で発生。後半部に入ると、固い友情に結ばれている弁護士と警察官が、腹の探り合いを繰り広げる。ボロを出してはいけない状況が、自らの首を絞めつけてしまう。

70年代の日活ロマンポルノでありそうな内容だが、ジョン・バリーの流麗な音楽が効果を上げており、人間同士の絶妙な駆け引きが描かれるため、煙に巻かれる感覚に酔いしれることができる。「後に引きずるファム・ファタール映画」として出色の出来栄え。
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