りょうすけ

シャドー・メーカーズのりょうすけのネタバレレビュー・内容・結末

シャドー・メーカーズ(1989年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

「シャドー・メーカーズ」

オッペンハイマー博士が原子爆弾を開発したマンハッタン計画を指揮したグローブス将軍を描いた作品。「オッペンハイマー」ではマット・デイモンが演じたグローブス将軍を本作ではポールニューマンが演じている。原題の「Fat Man and Little Boy」は広島と長崎に投下された原子爆弾の名前から取られたもの。
「オッペンハイマー」で描かれたマンハッタン計画は一貫してオッペンハイマーの視点から描かれていたが、本作ではオッペンハイマーとグローブス、そしてマンハッタン計画に携わったマイケル・メリマンという科学者(実在の人物ではないらしい)の3つの視点から描かれている。
実在しない人物がいることからもどれくらい史実に基づく物語なのかはわからない。ラストでマイケル・メリマンは実験中に放射性物質に直接触れてしまい、致死量の放射線を浴びてしまうが、これは彼のモデルとなったルイス・スローティンという人物の事故に基づくものである模様。ルイスはマンハッタン計画に携わってはいたが、この事故が起きたのは1946年のことなので、マンハッタン計画、特にトリニティ実験の直前に起きたことではなさそう。
「オッペンハイマー」に比べて、日本人に対しての差別的発言があったり、原子爆弾を投下する理由が、将軍のキャリアのためだったりと日本人にとっては見苦しいシーンが多いため、「オッペンハイマー」よりも批判の対象になる可能性は大いにある作品だった。日本で劇場公開されなかったようだが、「オッペンハイマー」と比べるとそれも納得してしまう。それにも関わらず、DVDも発売されている上に、一応レンタルもあるのでアクセスはしやすいという、日本人としては何とも不思議な感覚を抱く作品である。
「オッペンハイマー」同様、本作でも原子爆弾の被害が描かれていないことには驚いた。確かにマイケルの被爆シーンはあるが、それは原子爆弾による被害ではないのでノーカン。本作も「オッペンハイマー」と同様にグローブス将軍という人物を描いた作品として観るのであれば、そのような演出も必然なのかもしれない。
「オッペンハイマー」が公開される前は、原爆についての映画としてある程度の地位を保っていたのだろうが、個人的にはあっちを観れば十分だと思う。
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