りょうすけ

野火のりょうすけのネタバレレビュー・内容・結末

野火(1959年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

「野火」

塚本版は2015年に劇場で鑑賞済み。あんまり内容は覚えてないが、本作を観て確かにこんな話だったようなと思い出す。
あちらはB級色も強く、結構グロかった記憶だが、本作はモノクロでグロさも控えめ。人体が損傷するような場面でも必要以上にグロいシーンを写すわけではなく、血が地面に飛び散るような演出によって表現されているのは市川崑監督のこだわりなのだろうか。
「終戦から14年しか経っていないのに…」という言葉は戦争を題材にしたこと自体よりは、戦場で行われたことの倫理を問うというスタイルに対しての方が正しいかもしれない。
食料もなく、人肉を食らうしかなかった兵士たちは人間と呼べるのか、逆に人間とは、この兵士たちは何のために戦っているのか、この辺の問いを含んだ作品を敗戦後14年で映像化できたことを評価すべきだろう。
息を吹きかけると綿のようなものが舞い上がって次の瞬間には別の場面に展開される、この演出が印象的で好きだった。
りょうすけ

りょうすけ