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兎の眼のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

兎の眼(1979年製作の映画)
4.0
小谷芙美(檀ふみ)は阪神工業地帯の一角の、そばにゴミ処理場のある姫松小学校の先生になった。
彼女のクラスにも、鉄三(頼光健之)をはじめ、処理場で働く人の子供が何人かいる。
鉄三は、他の生徒とは一言も口を交わさず、ハエを大切に飼っている不思議な少年だ。
ある日、そのハエをカエルのえさにしてしまった生徒を、鉄三は怪我をさせてしまう。
芙美が理由を聞いても鉄三は口を開かなかった。衛生にも良くないので、ハエを飼うことをやめさせようと、芙美は鉄三の面倒を見ているパクじいさん(下條正巳)を訪ねると、「鉄三は小さな生きものにはとても優しい、しかし、ここには小鳥もメダカもいないんです」という話で、芙美は何も答えられなかった。彼女のクラスには情緒障害児のみな子もいた。
学校ではみな子を養護学校に入れようという声が多かったが、「もう少し長い目で……」という芙美の意見が通り、クラスの仲間でみな子の面倒をみる“みな子当番”をスタートした。
ある日、芙美が病気で休んでいる鉄三を見舞いに行くと、鉄三は以前彼女が届けた昆虫図鑑を見ながら、「これや!」「先生これや!」と自分の飼っているハエの絵を指さし、初めて彼女に口を開くのだった。思わず芙美の瞳は感動にうるみ、それから、ハエの名前を使っての読み方の勉強を始める。
暫くして、処理場の移転問題が起こったが、芙美や他の教師、生徒との努力で解決し、子供たちとの友情を一層深めていく。
子供の教育は教室だけではないことを知った芙美に、先輩の足立先生(新克利)は「子供たちは教師の生き方をじっと兎のような眼でみとんのや」と教えた。
そして、ある作文の時間、鉄三の作文を読んだ芙美は、子供たちとの心のふれあいの確かな手ごたえを感じるのだった……
灰谷健次郎の同名児童文学を映画化。
ハエを飼っている鉄三や発達障害のみな子などを演じる子役のバイタリティ溢れる演技や檀ふみさんや下條正巳や新克利などの演技は、見応えあった。
だけど、ハエを飼っている鉄三や発達障害のみな子など一見するとやっかいな子供たちを理解するため小谷先生が歩み寄り共に学ぶことで多様性を受け入れる学級を作るクラス作りの苦闘、辛苦を背負ったパクじいさんや足立先生の苦悩などが、あっさりと描かれるので、連続ドラマだったらもう少し掘り下げることが出来たけど、学校などで見て多様性などを考えるきっかけになる教育映画。
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