菩薩

エピデミック〜伝染病の菩薩のレビュー・感想・評価

エピデミック〜伝染病(1987年製作の映画)
3.1
18ヶ月もかけて書いたのにフロッピーに入れてた脚本データが飛んだから急遽5日間で「伝染病」についての脚本書き直してたら、その間に現実社会でも謎の奇病が蔓延しちゃって、最後ぐっちゃぐちゃになるかなり実験的な映画。実際トリアー達が書いてる「革新的」な作品の断片と現実世界とが交差してきて、最終的には飲み込まれていく様なイメージ。映画のプロデューサーが俺が担当する作品は筋がめちゃくちゃで、期待した様な事は起きず、まったく面白くないなんて愚痴をこぼすが、この映画もまさにそんな感じで、これはもうわざとそうしてるとしか思えなく、最後の狂気の大爆発に賭けたような気すらしてくる。すごく贔屓目かつ深読み的に解釈すれば、ヨーロッパは世界からおできのように飛び出て隔離されており、その中には決して交わる事の無い膿んだ人々がチューブ入りの歯磨き粉(アクアフレッシュみたいな感じ)の様に押し込められていて、過去繰り返されたペストの様な悲劇的で破滅的な自滅を、今もなお繰り返している…みたいな感じだろうか。脚本の中の医師が皆を救う使命感に駆られ隔離地域に赴くも、実は自らが病魔を撒き散らす原因になっている事にも気づけず、世界を破滅に導いていく、なんてのが随分と意味ありげに思えてくるけど、映像自体にあんまり輪郭が無いように話自体もかなりふわふわとしているから、「悪夢的」なんて言葉で済ましてしまい作品ではある。まぁ結局のところトリアーマニア向けの作品でしか無さそうな感じ。
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