「アラン・スミシー」（作品の出来に満足できなかったり降板したりといった理由で監督が作品に責任を負いたくない場合にクレジットされる偽名）を題材にしたフェイク・ドキュメンタリー。発想はちょっと面白げだが、この作品の監督名がアラン・スミシーになっていることからも分かるとおり、映画史に残る悲惨な出来映えである。映画そのものを巡るメタ視点の作品であるが、ギャグや皮肉に一端のキレもなく、何より映画に対する愛情やその裏返しとしての憎悪すら感じられないのがつらい。ハリウッドを皮肉ったつもりが逆にハリウッドから嘲笑されることになったこの作品の存在こそが、何よりも映画業界の疲弊と不毛を象徴しているのかもしれない。
