NORA

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章のNORAのレビュー・感想・評価

4.7
『ドラえもん』を下敷きとしながら、日常と同居する非日常を、時にユーモラスに、時にグロテスクに描いた青春SF。浅野いにお独特の空気感は色濃く再現されており、オフビートなギャグに彩られた会話劇、生き生きと躍動するキャラクターたちの表情、どこか懐かしさを感じさせるSF的ガジェットなどは、それだけでアニメ的、映画的な快感に満ちている。
原作未読のまま臨んだ身としては、前半と後半でガラリと変わるトーンと、あまりにも唐突な「前章」の幕切れ(クリフハンガー)に面食らった。現実の日本と地続きなようで、その実、「戦争」や「死」がごく身近に隣り合っている世界。その設定自体は決して目新しいものではないが、浅野いにお流のSF(すこし・ふしぎ)的解釈が、妙に眼に、耳に、皮膚に心地良い痛みを与え続ける。なにもかも謎に包まれた物語のなかで、唯一示された明確な「断絶」。”彼ら”は、彼女たちはどこから来て、どこへ行くのか。後章がいかなる展開を迎え、いかなる評価を受けようと、僕はこの”くそやばい”映画にもう2時間付き合う義務がある。おそらくは、格別の興奮と快感とともに。
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