『ファスビンダーの愛した映画／未ソフト化編　その1』原題：Flamingo Road
➖暗黒政治劇➖
フロリダ州の架空の町ボルドン。センプル保安官（シドニー・グリーンストリート）が裏で町を牛耳っている。彼は保安官代理カーライル（ザカリー・スコット）を州の上院議員にし、次いで州知事にして自分の傀儡政権を確立しようと暗躍。町にやってきた移動カーニバルの踊り子ベラミー（ジョーン・クロフォード）とカーライルはテントを調べに来たカーライルと親しくなる。センプルはベラミーの存在を政治活動の妨げになるとみなし彼女を逮捕させ遠ざける。カーライルは家柄のいい娘と結婚。
放免されたベラミーは街の政治家たちがたむろするサロンの女給として雇われる。二日酔いの社長ダン・レイノルズ（ディヴィッド・ブライアン）を親身に介抱したことがきっかけで2人は結婚。
レイノルズは町の高級住宅地フラミンゴ・ロードに新居を構え、ベラミーとの幸せな生活を始める。センプルはベラミーとの恋を諦めきれずアル中となったカーライルを切り捨て自ら都知事選に出馬することを決意。断固反対するダン一派に対してセンプルは各人に汚職の罪状を並べて脅迫。ダンはベラミーからカーライルの過去を聞き愕然したまま町を去るのだが…（オチは伏せます）
《感想》
この時期だけあってノワールな雰囲気だがどう見積もってもファム・ファタールではないクロフォードが若き踊り子というだけで違和感ビンビン！だがやたらとモテる！グリーンストリートは『マルタの鷹』や『カサブランカ』で有名な老獪デブ紳士で今回も大きな体軀を揺らしながら粘着質で憎らしさに満ち満ちて魅力爆発！電話機を投げて飛び散る鏡！ザカリーの無能ぶりと虚無的な自死。サロンの女給もキュート！サークにも通ずる他に選択肢はないと思い込んでる連中のメロドラマだが強かなクロフォードのみ自由に町を闊歩する！誰が主役かわからない不安定さも魅力。とにかく突発的に物が割れまくる！凄まじい進行のスピード感！