菩薩

サタンの書の数ページの菩薩のレビュー・感想・評価

サタンの書の数ページ(1919年製作の映画)
4.9
イエスを売るユダ、若き色香から逃れようともがく僧侶、元は忠実なる召使いでありながら保身に走るジャコバン派党員、その妻を奪おうと友人を密告する男。様々に姿を変え、それぞれの時代、それぞれの方法で、そんなか弱き人間たちにそっと忍び寄る悪魔の影。神に歯向い人間を貶める宿命を課されたサタンの嘆き、サタンの誘惑に負け堕ちていく者、その裏切りにより破滅していく者たちの姿、人間の弱さと狡猾さ、裏切りと悪意の蔓延を描いた四編からなる作品。この国からトリアーみたいな監督が生まれた事がなんだか必然だった様な気すらさせる作品。減点は絶世の美女であるはずのマリー・アントワネットが女装したザキヤマにしか見えないため。まぁでも、キルスティン・ダンストもなかなか…。

正直一番可哀想なのはサタンだったりする。彼がその呪縛から解かれるには彼の誘惑を退ける人を見つけるしかないが、それに失敗すればより一層サタンへの恨みは増していくという無慈悲なシステム。神はやっぱり鬼畜だ。第2章に出てくる異端審問の拷問室がゾクっとする、久しぶりに明大の拷問博物館に行きたくなった。
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