菩薩

むかしむかしの菩薩のレビュー・感想・評価

むかしむかし(1922年製作の映画)
4.3
あるところにジジイとババアがいて、腹の足しにもならぬ団子を与え育児放棄するピコ太郎の紛い物みたいな話などでは当然無いが、いい加減「きりもみ空中2回転」こと底抜けAIR-LINEは再評価されて然るべきだと思う、特にテクノ体操。

傲慢ちきでクソ生意気な小国の王女が、一夜にして全てを失った後に「真実の愛」とやらを獲得する、キーアイテム「黄金のやかん」。他人を見下す事ばかりを得意としていた人間が、他人に何かを懇願する様になった時の、その哀願に満ちた横顔は非常に美しく、かつ質素かつ厳しい生活の中で自らの存在意義を見出し「あの頃には戻りたくない。」と、最終的には自己犠牲の精神すらも習得していく大人のお伽話。なんせ道化役がいいキャラしてる。最終的に二人が結ばれる様のフィルムが欠損しているのは非常に残念。幸福とは常に喪失の先に存在しているものである。
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