この物語の主人公リズワン・ハーンは、幼少期からアスペルガー症候群を患っています。
敬虔なイスラム教徒・ハーンは、他人との接触が苦手なのですが、仕事先で出会ったシングルマザーのマンディラと恋に落ちます。
幸せな生活を送る三人の家族。
ところが2001年9月11日、あの忌まわしき9.11テロが起こったことで、米国全体の敵視の目はイスラム教住民に向い、家族は引き裂かれてしまいます。
再び家族の絆を取り戻すため、ハーンはただ一つの目的のために行動を。というお話。
なんとなく「スラムドック$ミリオネア」を彷彿させるような、味わいのある映像の連続。
162分と長尺ですが、ハーンと人々との出会い、その一つ一つのエピソードが素晴らしくて、全く飽きずに一気に見ることができました。
『My Name is khan.I'm not terrolist!』
自分はテロリストではないのだ。と
ハーンはただこの一言を米国大統領に伝えるために旅に出ます。
そしてハーンのこの一途な想いはイスラム系住民だけでなく米国中の感情を一つに…
憎悪の連鎖はどうすれば断ち切る事が出来るのでしょうか?
ハーンの母親は言います。
人間は二種類。善い人と悪い人、ただそれだけなのだと。
本当にシンプルな事。
なぜ複雑に絡まりあってしまうのか。こんなにも純粋で偽りのない慈悲を見せられたら考えずにはいられないでしょう。
宗教・人種・思想。無償の愛はその全てを超越することを証明してくれました。
過去の背景なんて関係ない。
私達が見ている彼こそが、その光景こそが、全てなのだから。
人間は共存できるのか?
それは、きっと難しいかもしれない。
人間は赦しという選択肢を甘受出来るほど寛容な生き物ではないし、違いを容認出来るほどの強さもないから。
けれども愛を通すことで、温かく、そして優しさに満ちた1つの「共感」を導き出す事が出来るのは確かなのでは?そう感じさせてくれる作品です。
本当に、1人でも多くの方に見ていただきたい。
こんなにも素晴らしい作品が劇場未公開だったなんて。