原題「Fragment of fear」。直訳は「恐怖のかけら」。TV放映のみ。本作はアガサ・クリスティを思わすタイトルが付けられているが、その実、謎の人物の正体も思惑も何の謎も解明かれない不可解なスリラーで捉えどころがない。お、大傑作「バニシング・ポイント」でSF的ループ構造を取り入れ、「荒野に生きる」で宗教的で神話的な物語を多面的に語った才人リチャード・C・サラフィアン監督じゃないか。
音楽は英国の70年代フリーソウルの奇才、ジョニー・ハリスJohnny Harris。これは秀逸だった。フルートが印象的な気怠いナンバー。ちなみにジョニー・ハリスには最近初邦盤化されたアルバム、Movementsがあり、その1曲目は本作のメインテーマ(「Stepping Stone.」映画にも出てくる謎のワードである」。2曲目以降も70年代のクラブソウルのような癖になる名演揃い(発売当時は本サイト当該頁でイントロが試聴できたがなぜか否は出来ない。ジャケも最高なのだが)。同監督の「荒野に生きる」(1971、Man in the Wilderness)も担当。