ポンペイ殺人事件を配信している動画配信サービス

『ポンペイ殺人事件』の
動画配信サービス情報をご紹介!視聴する方法はある?

ポンペイ殺人事件
動画配信は2025年7月時点の情報です。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。
本ページには動画配信サービスのプロモーションが含まれています。
目次

ポンペイ殺人事件が配信されているサービス一覧

『ポンペイ殺人事件』が配信されているサービスは見つかりませんでした。

ポンペイ殺人事件が配信されていないサービス一覧

Prime Video
U-NEXT
DMM TV
Rakuten TV
FOD
TELASA
Lemino
ABEMA
dアニメストア
Hulu
Netflix
JAIHO
ザ・シネマメンバーズ
WOWOWオンデマンド
アニメタイムズ
Roadstead
J:COM STREAM
TSUTAYA DISCAS

『ポンペイ殺人事件』に投稿された感想・評価

sleepy
4.5
ラスト10分は何だろう ****



   原題「Fragment of fear」。直訳は「恐怖のかけら」。TV放映のみ。本作はアガサ・クリスティを思わすタイトルが付けられているが、その実、謎の人物の正体も思惑も何の謎も解明かれない不可解なスリラーで捉えどころがない。お、大傑作「バニシング・ポイント」でSF的ループ構造を取り入れ、「荒野に生きる」で宗教的で神話的な物語を多面的に語った才人リチャード・C・サラフィアン監督じゃないか。

単数形の”Fragment” であり、その通りに疑惑の断片が集めらず収束しない不可思議な作風。これには断章、未完遺稿の意味もあり、意味深。この90分の「かけら」から、大きさがわからない恐怖の形を思い描くしかない造り。

恐怖とは真逆の青い空の下、イタリアのポンペイで裕福な老婦人が殺される。居合わせた親戚のティム(デヴィッド・ヘミングス)は陰鬱なロンドンに帰国するが昼夜問わず不可解な出来事が起こり始める。謎のメッセージカード(それは彼の部屋のタイプで打たれたものだった)、謎の電話、偽装警官、謎の中年女性、車の襲撃。周りのだれもそれを信じないしその場には居合わせない・・。彼は元薬物中毒者なのだが、その禁断症状・幻覚なのか。警察もそれを疑い、彼の言うことを信じない。

何かがおかしい。被写体の手前や奥になぜか気をとられるのである(いつも窓に鳩がいたりする)。この妙な距離感・配置が、観る者を主人公同様に不安や焦燥感に少しずつ追い詰める。後半に至り、主観映像で超広角レンズや急速クローズアップ等が駆使されるが、主人公ひとりがどんどんパニックになる様を突き放して見せる。

ただ本商品はおそらく英国版1種しかディスク化されていず、かつ英語字幕がない。日本のサイトにはほとんど情報がない。海外サイトも見たが、内容について突っ込んだ記述は見つけられなかった。やはり不条理で観客を突き放すスリラーというようなことが書かれていた。誤解を恐れずに言えば、例えばポランスキーの諸作(「反撥」「ローズマリーの赤ちゃん」「テナント」等)のタッチを感じないでもない。しかしポランスキーのような鮮烈なイメージや禍々しさは指向していないように思う。ダリオ・アルジェント監督の『サスペリアPART2』にも影響を与えたといわれる作品らしい(某サイトより。他にも英国産ジャーロと評するものもあり)。

主演に青く妖しい眼が印象的なデヴィッド・ヘミングス(「欲望」「ジャガーノート」「サスペリアPARTS2」「ジャンボ・墜落/ザ・サバイバー」(1981)等)は監督作も多い。彼の錯乱芝居に多くを依っているとも言えそう。
共演は美しいゲイル・ハニカット(「かわいい女」「ヘルハウス」「暗殺者を撃て」)。一時期ヘミングスの妻だった。彼女がキーのような気がする。モナ・ウィッシュボーン、フィリップ・ストーン、アーサーロウ、フローラ・ロブソン等、助演にもどこか英国映画で見た地味ながら達者な方が並ぶ。

カメラは英の重鎮の1人オズワルド・モリス(「白鯨」「ナバロンの要塞」「寒い国から帰ったスパイ」)、ここでも素晴らしいカメラワークを見せる。原作はジョン・ビンガム。脚本はポール・デーン(「007 ゴールド・フィンガー」「将軍たちの夜」「オリエント急行殺人事件」等。製作補も担当))。

音楽は英国の70年代フリーソウルの奇才、ジョニー・ハリスJohnny Harris。これは秀逸だった。フルートが印象的な気怠いナンバー。ちなみにジョニー・ハリスには最近初邦盤化されたアルバム、Movementsがあり、その1曲目は本作のメインテーマ(「Stepping Stone.」映画にも出てくる謎のワードである」。2曲目以降も70年代のクラブソウルのような癖になる名演揃い(発売当時は本サイト当該頁でイントロが試聴できたがなぜか否は出来ない。ジャケも最高なのだが)。同監督の「荒野に生きる」(1971、Man in the Wilderness)も担当。

さらに観れば発見があるように思うが、私はヒアリングが出来ない。作風から、稚拙な筋の説明等はないように思われるが、筋・整合性・カタルシス・盛り上がり・オチ等で映画を観る人はなんじゃこれと思うだろう。本作には、なぜか絡め獲られるように画に見入ってしまう妙に映画的な映像感覚がある。それにしてもあのラスト10分は何だろう。まさに神経衰弱「ミステリー」映画。もう1回観てみよう。ようわからんが、漂うただものではない空気。

Fragment of fear, 1970, UK, Columbia Pictures Theatrical aspect ratio 1.85:1 , 94min, Mono, 35mm