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夏の日の体験のghostboatのレビュー・感想・評価

夏の日の体験(1969年製作の映画)
5.0
ヤバすぎる。フランス旅行中のアメリカ人青年2人が現地で出会った1人の女の子(シャーロット・ランプリング!)と過ごす夏の日常を淡々と映してるだけの映画。いわゆる男女3人物語。ドラマが起こるわけじゃないのに死ぬほど面白い。

原作はアーウィン・ショー(『明日になれば他人』)、監督は作家・脚本家として活躍していたジェームズ・ソルター。本作はソルターの唯一の監督作らしい。

作家がメガホンをとった映画なのに物語や台詞に焦点が当てられてないのに驚く。この3人が街や海沿いで遊んでいる様子をただ見つめるだけのシーンが永遠と続く。まるで観察してるみたいな引きのショットもキマってる。シーンの繋ぎもひたすら断片的。ロケ撮影からしてヌーヴェルヴァーグの影響をモロに受けた演出が続くけど、ラストはキッチリと物語を描いてきてハッとさせられる。

お気に入りのシーンは全身びしょ濡れになった男二人が夜の路地裏でぴちゃぴちゃと音を鳴らしながらはしゃぐジーン。あと最後の全裸ダイブして溺れた人を救出するシーン。ここは神代の『少女娼婦』っぽかった。

詩的かつ退廃的なムードを匂わすこの時代独特の邦題が最高にキマっていて好きなのだが、原題はいたってシンプルな『THREE』。この邦題にこの題材ときて完全にヨーロッパ映画だろうと思っていたら、実は1969年アメリカ映画だったという。完璧すぎる。

本作を紹介してたアメリカの映画評論家ジョー・バルテークさんのブログ(the passionate moviegoer)はセンス良すぎたのでこれから漁っていきます。
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