せ

たぶん悪魔がのせのレビュー・感想・評価

たぶん悪魔が(1977年製作の映画)
5.0
弾を見ていた時は「自殺」(自己でないことを欲する絶望)を望んでいた。

けど、窃盗罪?を疑われるコトを契機に、絶望のレベルが上がる。

自己であろうと欲する絶望。
不幸も不安も全て自己のものだと受け入れ、それと共に自己であり続けたいと思うことによる絶望。『死に至る病』では、これが悪魔的であると。

カウンセリングのシーンで、
死にたくない!←精神的にという意味
僕は僕でいたいんだ!
と言っていたのは、自己への意識が強まったから。

"たぶん悪魔(的な絶望)が"、シャルルを死に至らしめた。

◎なぜ疑われるコトが契機になったのか?

 社会の一部であることを強く実感し、悲しくなった?(自分も就活期を経て今の精神状態になったので、対目に見えない「フツウ」が嫌になってしまった?)

◎なぜ他殺でなければいけなかったのか?

 ・強く自分自身でいたいと思っているので、自分で自分をある意味で終わらせることは、もうできなくなってしまったから?
 ・人に殺されるという不幸も、また自己を強く意識するために必要なものだった?

◎なぜ自分を殺す人間に彼を選んだのか?

 見せ方として、高いレベルの絶望をしている人間と、無精神性の人間とを対比させたかった?(シャルルは最後まで自己について顧みているのに対して、薬やそれによる快楽のために金を盗り逃げる図で終わっている。)


主人公が、自分は厭世主義だー!とか言わないでとにかくゆっくりと精神が動いていく感じがすごく良かった。
せ