一人旅

ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!の一人旅のレビュー・感想・評価

5.0
アレクサンダー・ペイン監督作。

アメリカの作家:トム・ペロッタによる1998年発表の小説「Election」を、本作の舞台となったネブラスカ州オマハ出身の鬼才:アレクサンダー・ペインが映像化した社会派学園コメディで、主演のマシュー・ブロデリックが生徒会長選挙にテコ入れする教師を演じます。

アメリカ中西部・ネブラスカ州オマハを舞台に、次期生徒会長選挙に立候補したいけ好かない優等生の女子生徒:トレイシーの飽くなき野望を挫くべく、人気者のスポーツマンであるポールを彼女の対立候補として立候補させた社会科教師の主人公:ジムの思惑と想定外の行く末を、浮気問題で私生活が窮地となった主人公の焦りと絶望を交え描いた学園コメディですが、子どもたちが学校で大騒ぎするだけのオーソドックスな学園青春コメディではなく、生徒会長選挙を題材にした“教師vs生徒”の水面下の駆け引きと対決のゆくえを描いた異色の学園モノとなっています。

本作は、時に卑劣な手段で他人を蹴落としてまで上へ上へとのし上がろうとする現代アメリカの行き過ぎた競争主義&ミーイズムに一石を投じた作品となっていて、上昇志向の権化と化した女子候補者のなりふり構わない選挙活動と、彼女の本性を見抜き水面下で選挙に介入する教師の大人げない行状をブラックユーモア満載に映し出しています。

民主主義の在り方を生徒に熱弁していた教師が自ら進んで民主主義の根幹である選挙を不当操作してしまうという展開が皮肉的で笑えますし、結局は野心的でずる賢い人間がいつまでも勝ち残っていくという弱肉強食な現代社会のシビアな法則が浮かび上がってきます。

『フェリスはある朝突然に』(1986)からすっかり大人になったマシュー・ブロデリックが生徒会長選挙に本気で介入する教師を好演していますし、野望に燃える優等生女子を演じたリース・ウィザースプーンのなりふり構わずな立ち回りも見物となっています。
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