外は雨

ボルタンスキーを探しての外は雨のレビュー・感想・評価

ボルタンスキーを探して(1990年製作の映画)
4.5
‪駅の忘れられた傘を拾い集め、古着の一枚一枚に着ていた人を想像し、雑誌の写真を切り抜きそのままにして混ぜこぜにして一体誰の事だかわからなくなってしまった人達を祀る。自分の少年時代なのか他者のそれなのかわからなくする。その膨大な忘却と脆い定着のアーカイブ。‬

クリスチャン・ボルタンスキー Life time 行ってきました。かつていた人々の薄れゆく記憶を辿るような。それぞれ形も無くなっていく集合体でもあり、それぞれの個人的なものであるいつか忘却の海に出るその人生を歩く。

ボルタンスキーの作品が好きだ。そこにあらゆる人々の痕跡を拾い集めようとしている。そこには被害者も加害者もない。いつかはみんな忘却の彼方に行ってしまう脆い記憶をアーカイブしていくようなそんな絶望と愛。誰かを写した写真のその表面に向こう側の小さな光を纏った小さなポートレートが重なる。

もう一体誰のものだかもわからない、親しげな幽霊たちが干し草の匂いがする金色の地平へと連れて行く。

窓の向こうは干し草の匂いがする金色の地。

ドキュメンタリー「ボルタンスキーを探して」の断片を観ることもできた。もう一度観たい。
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