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エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPEのとぽとぽのレビュー・感想・評価

4.0
ガツンと食らうブラジル版スコセッシみたいな劇薬その名は"カベイラ"ーーーーナメてた映画は実はヤバい快作でした!というパターン、正直見る前は無知な自分のことを棚に上げて「どうせアメリカ映画噛んだようなバカ映画でしょ」くらいに思ってました。けど痛い目に遭って改心、本当スミマセン。表現の大いなる可能性と責任。実状はシビアな割に案外キャッチーな語り口。だけど、ここで描かれ展開されるのは娯楽のための遊びでも飾りでもない。街中のあらゆる者を巻き込む闘争つまりテロリズムであり戦争。警察も輩で腐りきった癒着関係に着眼点を当てて背景までメスを入れる、何より骨太で暴力的でスリリング。思ったよりアクションアクションって感じてもなかったけど、実に賢く洞察に満ちた脚本で思惑と疑念入り交じる複雑な駆け引きや頭脳戦も見所。切迫した日常の中にヒリヒリとリアルな温度が焼き付いている。未だに世界各地に広がる途上国等をアクション映画のバトルフィールドとして使うアメリカよりも自国の方がウマく出来るとでも言うように。『マイ・ボディーガード』以降『ナルコス』や『ボーダーライン SICARIO』シリーズを担当していたロケーションマネージャーが見せしめで蜂の巣にされて殺されていた事も記憶に新しい。つまり絶対旅行したくない、大人しくしていよう。強いて言うなら始終主人公によるナレーションが説明し過ぎな点と、その間に4年とか歳月がサラッと流れてく点くらいだけど本作に限っては見ている時そんなことさして気にならない。血の通った上等な演出で一見の価値あり、こりゃアメリカに召集されて成功したかはともかく『ロボコップ』の監督に抜擢されるわけだ。本作の主人公をアメリカでするならジェイソン・クラークって顔。

勝手に関連作『メトロマニラ』『シティ・オブ・ゴッド』
ナシメント@ボッピ→今回は世論・政治論争に巻き込まれて公安の次長に
2083年「ブラジル国民の9割が刑務所だ」HUMAN RIGHTS AID「ドクロをマークにした警察だって?死の象徴だ」「俺は戦いが好きだ、平和は戦士のみに訪れる」「仕事に夢中だった、仕事より大事なものはなかった」「密売が消えれば腐った警官に金は入らない、ようやくシステムが変わる」「金の切れ目が縁の切れ目だ」「仲介者がいないほうが儲かる」「気づけばスラムは巨大市場だった」「俺はモンスターを作り上げていたのだ」「マフィアもマカロニもイタリアのものだ」「物事は悪い方へ進むものだ」「この作戦名が分かるか?イラク作戦だ」「マスコミが作戦を評価すればあとはなんでもいいのだ」「俺は敵に囲まれていた、本物の敵に」「ブラジルの権力者は捕まらない。だがボッピを敵に回せば厄介な事になる」「ムカつく私欲の集合体だ」「本当の敵を見抜くのが遅ければ俺は独りになっていた」「システムとの戦いは始まったばかりだ」「リオの軍警は廃止すべきだ」「誰のために何故殺すか知らなかった。フラガ議員あなたの同僚の半分は刑務所にいるべきだ」「システムは続く」「ひとつだけ答えてくれ、これ全部誰が払う?」
TOMATOMETER93 AUDIENCE91
Critic Consensus: Elite Squad: The Enemy Within is a bleak, violent descent into the Brazilian underbelly, ripping into the favelas with unstoppable and kinetic
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