Yoshishun

ポケモン・ザ・ムービーXY&Z ボルケニオンと機巧のマギアナのYoshishunのレビュー・感想・評価

3.8
“人間不信ポケモン、人間を知る”

XY劇場版、かつ現時点でTVシリーズ劇場版最終作。前年のフーパがポケモン版KOMという大作だったもののポケモン映画史上最低興収を更新したが、本作でさらに更新してしまう結果に。(なお、その4年後に更に更新してしまうのだが…)
しかし、XY劇場版シリーズは、作品を重ねるごとに面白さも右肩上がりになっていった。そして最終作である本作、例に違わず前2作以上の感動と興奮の増した作品となっていた。

平気で嘘を付き、良いように利用されるため、人間嫌いとなった幻のポケモン・ボルケニオン。人間とポケモンの絆を信じるサトシ。相反する二人がひょんなことから電磁パルスにより磁石のように離れられない存在に。しかし、この離れたくても離れない状況がボルケニオンの価値観を変えるきっかけとなり、終盤のとある台詞で大きなカタルシスとして表現される。嘘を嫌うボルケニオンが、初めてついた嘘。それに対するサトシの言葉にグッとくる。

また、近年の作品には大きく欠如していた悪役の存在感やロケット団の活躍にも目が離せない。特に本作の悪役であるジャービスは、過去作と比較して全く善行のない珍しい外道っぷり。自身の理想の為なら王国の王子を傀儡のように扱い、王女だろうがポケモンだろうが平気で殺そうとする。終いには計画が破綻したかと思えばとんでもない置き土産と共に1人さっそうと逃げ出す。ここまでの悪役らしい悪役はかつていただろうか。

あっさりすぎる大団円に向けて終盤が少しダレた印象があったり、エリファスのマギアナに隠した兵器の杜撰さはあるものの、近年の作品では1番の出来と言っていいだろう。観る前は好きになれなかったボルケニオンとマギアナも良いポケモンだった。
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