ボブおじさん

ボーン・コレクターのボブおじさんのレビュー・感想・評価

ボーン・コレクター(1999年製作の映画)
3.9
猟奇的連続殺人事件・新人とベテラン刑事のバディ物・勇気ある女刑事・安楽椅子探偵・行動派と頭脳派の融合・無能な警部・ハンデのある主人公とウィットに富んだ毒舌の看護士いずれも過去に映画化された手垢のついた設定だ。

だが、これらの要素を全て兼ね備えミステリーとしてもサスペンスとしてもしっかりと成り立たせているのは、原作小説がよく出来ているからだろう。

科学捜査のスペシャリストで不慮の事故でほぼ全身が麻痺したカリスマ捜査官ライムをデンゼル・ワシントン、彼の手足となる新人の女刑事アメリアを当時売り出し中のアンジェリーナ・ジョリーという共にオスカー受賞者の実力派がコンビを組んで連続猟奇的殺人事件の謎に迫る。

ちなみに「ボーン・コレクター」とは人を殺して骨を集めるサイコパスのことかと思えばさにあらず。現場の状況証拠から少しずつ解き明かされる犯人の人物像。難解なメッセージを残し、次々と猟奇殺人を繰り返す犯人。そして明かされた驚愕の真実とは?

いわゆる〝安楽椅子探偵物〟のサスペンス・ミステリーとしても見応えがあるが、この映画の魅力は決してそれだけではない。過去のトラウマと訣別し自分の運命を切り拓く女の話でもあり、自身の身の上に絶望し安楽死さえ考えた男が再び生きようと決意する〝再生の物語〟でもあるのだ‼︎


〈余談ですが〉
緊迫感あふれる映画に束の間の安らぎを与えてくれるのが、クイーン・ラティファが演じた毒舌看護士のステラ。

この名前とのコンビどこかで見たような気がして思い出したのがヒッチコックの名作サスペンス「裏窓」。骨折した主人公ジェフの身の回りの世話をする出張ナースの名前がステラ。ジェフの体のマッサージや、食事を作るといった世話をしながらウィットに富んだ会話でスリリングな展開の中に絶妙な緊張と緩和を生んでいる。