佐々木只三郎という人物について殆ど知らないのだが、この映画を観る限り殆どショーケン。
どしゃ降りの中で暗殺を遂げ、顔を上げてカーっと雨を飲む冒頭からしてショーケン節全開という感じ。
狂人の癖に愛嬌があり、殺人マシーンの癖に繊細。
図らずも少年剣士を斬ってしまった事を気に病み、「アイツ、母さんて言いやがった!」と情婦に抱かれながら両手を何度もこすり合わせる演技なんかは真骨頂。
主人公を単なるパラノイアに陥らせないところはさすが。
根津甚八演じる竜馬との対の構造がもっと掘り下げられていたら良かったんだろうけど、坂東八十助との疑似ホモドラマに比重が偏っていたのが残念。
三竦み構造にするでもなく、それぞれがバラバラになっていて、良くも悪くもショーケンのワンマン映画になっているのが惜しい。