ののひこ

幸せなひとりぼっちのののひこのレビュー・感想・評価

幸せなひとりぼっち(2015年製作の映画)
3.6
正直者はバカを見る。
確かにそうかもしれない。
でも、正直者は、
自分に正直に生きた者は、きっと幸せだ。
良いことなんてないかもしれない、けれど、きっと誰かは見ている。
私は、そんな正直者のバカを見てあげたい。
見てあげられるような人間になりたい。
この映画を見て、自然とそんな気持ちになった。

妻を亡くし、一人残された老人が主人公なだけあって、どことなく悲しくて切ない雰囲気がある。
けれど、そんな大きな悲しさの中でも、小さな喜びがある。
その小さな喜びは少しずつ降り積もって、いつしか大きな悲しみさえ包み込んでくれるだろう。
悲しみは消えなくても、喜びが寄り添ってくれる。

不幸なのは死ぬことじゃない。
不幸なのはひとりぼっちだからじゃない。
幸せになる方法は、きっとすごく単純で、本当は自分は既に知っている。

スウェーデンの映画ということで、少しのんびりしているように感じた。
中盤は少しテンポが悪くて、退屈になってしまうこともあった。
しかし、全てを見終わってみると、その停滞した空気感すらこの作品の持ち味なのではないかと思えてくる。
何度も見返したくなる作品ではないかもしれないけれど、ぜひ一度は見てもらいたい映画だった。