No.3222
『便所からの脱出』
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隣で毎晩脱糞されてたら地獄ですね。
それより、なにより、ヘルツォークにしては、なんか詰めが甘いような気がします。
監督がヘルツォークじゃなかったら、そこそこ面白いと思うんです、
でも、ヘルツォークだから、なんか個人的ファンとしては物足りないのです。
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その最大の理由は、「飲み食いしてる場面があまりにも少なすぎる」こと。
そりゃそうでしょう。
あの酷暑の中、水分もろくにとってなかったらとっくに脱水症状、栄養失調でみんな死んでますよ。
でもそうなってないってことは、どこかでギリギリ生きていけるだけの飲食をしていた、ってことになるわけですが、
どう考えてもそういう生活してるようには見えない。
看守たちでさえ食物に困り、ついにディーター(C・ベイル)は蛆虫まで食べざるを得なくなる・・・。
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それと、ディーター以外の兵士たちはすでに2年もあの中にいたっていうのに、
みんな普通に会話して、思考能力もそれなりにあるっていうのもなんだか・・。
精神錯乱を起こしても仕方ない環境に見えるのに、ぶっちゃけ
「極限状態」に見えないのですよ。
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とはいっても、向こうの看守たちもけっこう監視の目がゆるかったりして、四六時中緊張状態ではなかったみたいだから、
みんな一応精神的には壊れずに済んでいた、という見方もできる。
しかし、「アギーレ」とか「フィツカラルド」とか「コブラ・ヴェルデ」とか、キンスキーと組んで作ってきたとんでもない過去作を見てしまっていると、
「ヘルツォーク!! あの頃のギラギラした映画はもう、撮れないのか!!」
と思ってしまう。
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映画全体としてはそういう感想ですが、
役者陣は素晴らしい。
クリスチャン・ベイルは言うまでもなく、
スティーヴ・ザーン(ドウェイン役)や、ジェレミー・デイヴィス(ジーン)の何とも言えない悲し気な表情、諦めきった感じがひしひしと伝わってきた。