Mary

月曜日に乾杯!のMaryのレビュー・感想・評価

月曜日に乾杯!(2002年製作の映画)
4.8
現実の汚さを無理に隠している訳ではないのに、何故かずっと美しい。
こういう絵画的なフランス映画って、単一のメッセージを押し付けてこないから、一見何を伝えたいのってなるけど、観る人によってそれぞれ色んな意味を見い出せる(捉え方を観る人に委ねてる)ところが好き。
私が考えたこのストーリーの意味は↓

工場勤めで煙にまみれながら毎日同じことの繰り返し、退屈で暗い日常に飽き飽きしたヴァンサンはヴェニスに旅して、ノープランでお気楽なヴァカンスで癒される。美しくて楽園のように思える場所だけど、観光客としての視点をずらして裏を見てみると、イタリアでも家庭や職場(フランスと全く同じような工場)には少なからず闇と退屈がある。それでも淡々と生きる人々。ヴェニスで出会った陽気な友人の笑顔にも気付かされるものがあって、ヴァンサンは長い旅を終えて家に帰る。
面白い事が起こらない退屈な生活でも笑顔で生きよう、あるいは、笑顔でなくてもただ淡々と生活するだけでもいいじゃんか、というメッセージがあるんじゃないか。

まあこういう映画ってキャラクターの心情の機微を上手く描くとかは無いから所謂感動は無いし、単なる人間の観察のようにも見えるけど、それもそれで異国の街を旅した気分になって楽しい。
ドキュメンタリーのような、絵画のような映画。でも何時間も観てて寝ないってことは私はこういうの好きなんだろうな。
Mary

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