爆裂BOX

ウェス・クレイヴンズ ザ・リッパーの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.8
マサチューセッツ州の田舎町リヴァートンには、7つの人格を持ち、その一つである「リヴァートン・リッパー」が数々の殺人を犯した連続殺人鬼がいた。彼は警官に撃たれて重傷を負うが…というストーリー。
「エルム街の悪夢」や「スクリーム」のウェス・クレイヴン監督によるホラー・サスペンスです。
重傷を負ったリッパーは搬送中の事故に紛れて姿を消す。16年後、リッパーが消えた日に生まれた7人の少年少女は「リヴァートン7」と呼ばれ、リッパーのそれぞれの人格を受け継いでいると言われていた。彼らはリッパーの命日にリッパーの亡霊と戦う度胸試しをしていたが、その日の夜を境に彼らは次々と惨殺されていく。リッパーの死体がいまだ発見されていないことから、リッパーが生きて復讐に訪れたのではないかと疑惑を抱くが、という内容です。
「過去に死んだ殺人鬼が復讐に舞い戻ってくる」とか「学園舞台にした青春サスペンス要素」等「エルム街の悪夢」と「スクリーム」を足して二で割ったような設定の作品ですが、作品の雰囲気としてはサスペンス要素強めの「スクリーム」に近い作品ですね。
冒頭から多重人格連続殺人鬼のリヴァートン・リッパーが大暴れしていきなりスラッシャー映画のクライマックスな展開見せてくれたり、「リヴァートン7」と称される7人の若者達の通過儀礼的な儀式なども雰囲気あって良かったですね。
中盤は学園青春ドラマが描かれますが、7人の中でも派閥的な物があったり、女王様グループの悪事の証拠を掴もうと携帯女子トイレに仕掛けて、そこで交わされる会話に一喜一憂したり、携帯回収しようとしてドジ踏んじゃったりとコミカルな要素もあって楽しめました。
最初の犠牲者が出てから次の犠牲者が出るまでちょっと間がありますが、そこから結構一気に殺されて行ってちょっと慌しさというか、忙しなさを感じたかな。ナイフで喉を切り裂いたり、腹を刺したりしますが、血は割と出るけどアッサリしたものでグロくはなかったですね。
メインの7人の若者達のキャラをすぐに観客に掴ませる所は流石ベテラン監督という感じか。主人公のちょっと変わっててお調子者な親友とかいい味出してました。盲目の黒人とかはもっと活かせそうだったけどあんまり目立ってなかった気がしますね。女性陣は皆綺麗で、信心深く神様の声を聞いている?ペネロペが一番好みで主人公に好意寄せてるしヒロインかと思ったらアッサリ…だったのは残念だったな。後、リッパーを銃撃して重傷を負わせ、現代でもその再来を恐れる刑事役でフランク・グリロが出演してますが、若い!
主人公バグは他のキャラにも「無垢」な存在と言われるだけあってどことなく不思議系な雰囲気あって、マックス・シエリオットはそのキャラにあってたと思います。殺された犠牲者の幻覚見たり、その人の口癖を一人で喋ってたり時々様子がおかしくなるのでもしかして主人公が!?と思わせる要因にもなってます。
学園で一目置かれる女番長的存在ファングが個性的でキャラ立ってましたね。主人公の姉でもあるけど、主人公の事ボロクソ言って、当たり散らしてボコボコに殴ったりかなり暴力的だけど、明かされる過去見たらそりゃこんな荒れるわなと思いました。自分は悪夢に囚われて苦しんでるのに、主人公は「奇跡の子」と言われて無垢なままでいられたらね…根っから悪い子じゃないことが分かってもくるし、ただ、ラストの主人公との和解はアッサリしすぎな気もしますね。
リッパ―の中にいた7人の人格が7人の若者達に宿っているという設定ですが、それも上手く活かせてない気もしましたね。そもそもどういう人格がいたのか説明されてないからイマイチ掴めないし、憑依するという事は単純な多重人格じゃなくて7人の魂が一人の身体に宿っているという状態だったのかな?リッパーの時は。主人公が独り言言ってたのは殺された人の魂が宿っていたちう事か?そこもよくわからないですね。
後半の主人公の自宅でのリッパーとの戦いは手馴れたショッカー演出もあって楽しめましたし、主人公の出生の秘密絡めて謎が謎を呼ぶ展開や、生き残った者の中にリッパーの魂が宿った者がいるという犯人捜し要素もあって「スクリーム」のようなサスペンス感強めで楽しめました。犯人は怪しいとしたらこいつだろうなと予想した人だったけど。
エンディングは個人的には本編よりも、特典の「別エンディングその1」の方が好きかな。肉体は死んでも皆主人公と共に生きているって感じが好みでした。
ストーリーは複雑な所もありますが、青春スラッシャー物としては良作の部類だと思います。グロいシーンもあんまりないからホラー苦手な人でも見やすいんじゃないでしょうか。