芹沢由紀子

黒部の太陽の芹沢由紀子のレビュー・感想・評価

黒部の太陽(1968年製作の映画)
4.5
これさー、自分の地元の話なんだけど、見てる人数少なすぎてびっくり。
めちゃめちゃ名作なので、このコロナ禍自粛時期にぜひおすすめ~!

まず黒部ダム、完成までの数年間の間に死者を260人ちかく出しているらしく、ダム周辺は「出る」と有名な心霊スポットでもあるのだ。
そんな過酷なダム建設をするためのトンネル貫通工事の完成までを、3時間の映画で体感できるものすごいアトラクション!「バックドラフト」も目じゃないと思う。

まず三船敏郎と、石原裕次郎が親子で、地で演技してるんじゃないかと思えるほどその役のおっさんにしか見えない。
いろいろ端折るが、長い映画だけど、これは長い長い苦労を伴い、「本当にこの工事、終わるんだろうか?こんなに金と人命をつぎ込んでるのに、終わる気配が全くしない。もしこのままとん挫したらどーなっちゃうの!?」と工事関係者も、みているこちら側もほんとうにツライ思いをする。
前人未到の大自然にたかが人間ごときが挑むなんて、なんという愚かなことか・・・・と本当に心がズタボロになるまで打ちのめされる。

だけど、その終わらない長い長い氷河期の雪解け水みたいな苦しみが、ラストには満水のダムの放流のごとく解放されて、私は思わず万歳を叫び、うわ~~~~~ん、と子供のようにむせび泣いてしまったのであった。


吉村昭氏の名作小説「高熱隧道(こうねつづいどう)」を合わせて読むのもおすすめです!こちらは、同じく黒部ダムをつくるための人工さんたちや重機を現場に運ぶための坑道を、まず最初に高熱の水が噴き出るトンネルを掘りきった人たちのドラマで、こっちは映像化がたぶん不可能。
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