惡

魔法少女を忘れないの惡のレビュー・感想・評価

魔法少女を忘れない(2011年製作の映画)
4.4
わたしたちはすべての映画のファーストカットを覚えていられるのだろうか。
そもそも1秒前のカットですら本当に覚えていられるのか。
「行け!」


『汚れた血』のようなわけのわからない飛ばし方が評価されているのだろうか。演技もギリギリのとんでもなく稚拙な自主映画スレスレのラインを映画は辿るが、それでも冒頭から頻出するメディアの越境やミライの出現と消失に思考は掻き乱され続け、ラストの消失を悟らせる横顔には背筋が凍る。この作品は完全にホラーなのだ。
そしてもはや作品に流れる時間すべてがどこか一点からの回想に思えてくる。飛翔によって文字通り宙吊りになった作品内の時間がラストカットで映写事故を思わせるほどの永遠の「静止画」となる。彼女の左右非対称の眼は静止していながら魔法の正体も、魔法少女の未来も、なんら答えを与えてくれるほど親切ではなく、ただその複雑な表情を形作るように変化し続けている。








山戸結希、これ観て『五つ数えれば今日の夢』撮ったのではないだろうか。
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